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サービスエリアの空の下 70

スマフォで現時刻を確認すると、朝を迎えるまでさほどの時間は残されていなかった。
なるほど、空を見上げれば、ほのかに白んできている。

そんな中、種々なプランを繰り返し想定してみた果てに、私は決断した。

「朝になるまでのとりあえずは、Hさん宅の敷地内に入ったと思われるもう一匹の子が草むらの中に戻ってくる頃だと仮定して、今後は動きましょう」

男性が伝えてくれた事実からすれば、Hさん宅周辺は外灯が少なく、暗いという。
決して目視に適している立地環境だとはいえないだろう。

加えて、だ。
仮に、キジ白猫様がまだこちらに戻って来ていなくて、Hさん宅の敷地内に入ったままなのであれば、その中を確認しようにも、家主への許可取りが難しい時間帯である。
であるならば、Hさん宅周辺を重点的に捜索するのは、やはり夜が明けた日中に行った方がいい、という決断理由に私は落ち着いた。

それらを一通り男性に説明した上で、お願いごとを私は告げた。

「さしあたって、捕獲器のフラップが閉まるカシャンという音を聞き逃さないように、この位置での張り込みをやって頂けますか?」
「分かりました!」

私が思った通り、張り込みしている間に、ひょっとしたら鈴音がもう一度聞こえるかもしれない、との期待を男性は抱いたようだ。
瞬時にして、その目に、やる気が漲った。

男性のその様子に一先ずの安堵を覚えた私の方は、なにをすることにしたかというと。
もう一度、手作り食を一定間隔に置く作業に取りかかることにした。
茶色猫様が食した場所の補充をしながら、目視でキジ白猫様を捜すつもりだ。

「では、お互いなにか動きがあり次第、電話連絡という手筈で」
「了解しました」

いうなり、草むらの中に集中し始めた男性と別れ、私は草むら際へ歩いて行く。
どうせなら男性と被らないように、手順としては、一番遠い場所から確認を始めていくことにした。

一か所目、二か所目、三か所目と確認していくが、しばらくは手作り食の残りに変化はない。
四か所目、五か所目、六か所目も、私が置いたままであった。
七か所目、八か所目、九か所目も同じだ。
十か所目と十一か所目は茶色猫様が食した場所だったので、手作り食を設置し直した。

その間、キジ白猫様の姿も茶色猫様の姿も見当たらなかった。
ほかの野生動物も然りだ。
男性から電話がかかってくることもない。
草むら付近を歩く人もいない。
そんなふうに時間が経過していく中、私は淡々と作業を続行した。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉