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サービスエリアの空の下 72

鈴音は依然として聞こえてこなかった。
そのまま時間が流れる中、私は定期的に手作り食を置いた場所を回った。
男性の方は引き続き、捕獲器のフラップが閉まるカシャンという音と鈴音を待ち侘びながらの張り込みに精を出している。

そんなふうに時が経つにつれ、空には太陽の光がいよいよ増していった。
サービスエリア内には車の出入りが目立つようになり、それに伴う人の動きもよく目につく。

とはいえ、猫様の保護活動がとんとん拍子に運ぶことはそうそうないことを充分すぎるほど知っているので、この膠着状態に私が焦れることはない。
それとなく様子を見るに、男性も辛抱強く励んでいるようだ。
それでも、生理現象にはさすがに勝てない。
尿意を催したことを、男性は電話で告げてきた。

「すみません。いい加減、限界に達しました……」
「どうぞ、遠慮せずに行ってください。我慢は身体に毒ですから」
「すみません……」
「なんだったら、ついでに飲み物を飲んだり、食事を取ってきて頂いても構いませんよ。先が長くなる可能性もあるので、休憩を入れた方が、むしろいいかもしれません」
「分かりました。では、お言葉に甘えて、フードコート内で30分ほど休憩させてもらいます。その代わり、お宅さんもあとで休憩をしてください。こっちばかり休んだとなれば、どうにもこうにも申し訳なくて落ち着かないので……」
「承知致しました」
「では、お先に休憩を頂きます」
「ごゆっくり」

男性が休憩をしている間、私が入れ替わって張り込みに着手した。
私が張り込みをしているという事情を知らない他人から見れば、一人で突っ立ってる様子は不思議に思われることだろう。
ともすれば、不審さの目を持って見られているかもしれない。

だが、そんなことはお構いなしだ。
とにもかくにも、キジ白猫様の保護が叶えば、それでいい。
私は雑念を切り捨てて、張り込みに集中した。

しかし、私の集中は直に阻害された。
不快極まりないエンジン音を撒き散らしながら、五台の車がやってきたからである。
そのけたたましさに顔をしかめているのは、私だけではなかった。
歩道を行き交う人々もびっくりし、迷惑そうに五台の車へ目を向けている。

されど五台の車は、周囲の人々の不快反応をあざわらうかのように駐車場内を滑走した。
そうやって我が物顔でエンジン音を吹かしながら、五台の車はやがて、一塊になれる位置に駐車した。
間もなく、五台の車の中から、それぞれのドライバーが降りてきた。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉