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サービスエリアの空の下 73

車から降りてきた五人のドライバーは皆、一様に若い。
なにがたのしいのか、大声で喋っては、ケタケタと笑い合っている。

このまま騒がしくされたら、保護しようとしているキジ白猫様が嫌がりそうだなあ……。
喫煙所にやってきたら、尚更、支障が出るかもしれない……。

そんな懸念を私は抱いたが、現実はそうならなかった。
五人のドライバーはフードコート内へ向かったので、ホッとする。

そうはいっても、だ。
食後に喫煙所にやってくる可能性がなくはない。

邪魔にならなければいいなあ……。

そう思いながら、草むらの中に視線を戻そうとした時、私の耳は例の鈴音を捉えた。

どこだ!?

聞こえた鈴音は小さなものだったので、近くではない。

では、草むらの中から聞こえたのか……。

否、そうではない気がする。
というのは、鈴音を捉えたのが、私の右耳だったからだ。
鈴音が聞こえた瞬間、私は五人のドライバーが入って行ったフードコート方面に正対していた。
その向きから左方面が、捕獲器を設置している草むらだ。

右方面はというと。
五人のドライバーが、それぞれの車を駐車した位置である。
いつのまにか、茶色猫様がそちら方面に移動したのかもしれない。
あるいは、幽霊の状態の”シロ”くんが鳴らした鈴音ならば、どこから聞こえてきても不思議ではないだろう。

ただ、幽霊の状態の”シロ”くんが鈴音を鳴らした可能性については、脇に置いた。
繰り返すが、幽霊や心霊現象に関する知識に、私は明るくはないからだ。
よって、茶色猫様が鈴音を”聞かせてくれた”との前提に、私は立っている。

しかしながら、どうしても気になることがあった。
それは、鈴音の音量のことだ。

上記に書いた通り、聞こえた鈴音は小さなものだった。
それから推定するに、私が今いる位置から近くはないと考えたわけだが……それにしたって、だ。
五台の車が駐車している場所と私が今いる位置との間には、ほかの車が停まってはいない。
つまり、私の視界を遮るものはないのだ。

しかも、である。
五台の車との距離は、優に100メートルはある。
鈴音は確かに同方面から聞こえたわけだが……どう頑張っても茶色猫様の姿は確認できない。

仮に、五台の車の陰に茶色猫様が隠れていたとしよう。
だからといって、100メートル以上も距離が離れていては、いくらなんでも鈴音が聞こえるはずがない。

となると。
一体全体、鈴音はどこから聞こえてきたのだろうか。
物理的に無理があるとすれば、やはり、ほかの存在が鈴音を”聞かせてくれた”のではないだろうかと、私は思った。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉