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サービスエリアの空の下 77

前回ブログ『サービスエリアの空の下 76』の文末で綴った理由により、五人のドライバーが居る喫煙所から、なぜに鈴音が聞こえてくるのか、私にはまったくもって分からなかった。
ともあれ、喫煙所は捕獲器を設置している草むら付近である。
なので、ここで様子を見続けることは、草むらの中の張り込みとして成り立つ。

張り込みで立ち止まっている時には、鈴音は聞こえてこなかった。
もっとも、移動しながらの時でさえ、いつ聞こえてくるかは定かではない。
誰かが鈴音を聞かせてくれるまで、完全に受け身でいるしかないのだ。
だから、聞こえてくることを重要視し過ぎるのは良くないだろう。
キジ白猫様の姿を発見するための視野を自ら狭めてしまわないように、耳以外にも私は集中を怠らなかった。

やがて、五人のドライバーの内の一人である金髪男が喫煙所から出てきた。
矢庭にスマフォを耳にあて、誰かと通話を始める。
かと思えば、さして意味はないだろうが、辺りをウロウロし始めた。
電話をしながら歩く金髪男の姿を、私の両目が追った。

電話中、金髪男は妙に高いテンションで話しているので、周囲を歩く人々は総じて迷惑顔を浮かべている。
私としても、同じだった。
付近にキジ白猫様や茶色猫様が居たとしたら、金髪男のハイテンションな喋りとウロウロ歩きは警戒の対象となってしまうからだ。

頼むから、早く電話を切ってくれ!

強く願う私の祈りは、しかし叶わない。
金髪男はテンションを下げることなく、長電話をたのしんでいる。
電話相手との会話が弾んでいるようで、さらなるハイテンションを見せる時すらあった。
甚だ迷惑である。

かといって、だ。
さっさと電話を切るように私が強く迫っても、金髪男からすれば理不尽であろう。
それに、先ほどからの金髪男の振る舞いを見ている限り、大声で電話をしていることが他人の迷惑になっていると私が注意したとしても、功を奏すとは思えない。
喫煙所の中に残っている仲間の四人がいるので集団心理が作用し、ケンカ腰で迫られることは容易に想像がついた。
不要なトラブルを避けるためには、仕方がない。
金髪男が電話を終えるのを、私はただ待つしかなかった。

ほどなくして、金髪男のウロウロ歩きがふいに止まった。
ようやく電話を切るのかと期待したが、そうではなく、金髪男は草むらの際に向かって歩き出した。

……なにをする気だろう?

私が疑問を抱いていると、金髪男は悪びれもない動作で草むらの中に足を踏み入れた。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉