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サービスエリアの空の下 78

ここまで何度か書いてきた通り、このサービスエリアで働く従業員以外、草むらの中は立ち入り禁止である。
であるからして、捕獲器の設置及び様子確認を、私は男性にお願いしているわけだ。
なのに、さも当然の如く金髪男は草むらの中に入って、どんどんと奥に進んでいく。

大声での電話だけなら、まだ我慢しよう。
しかしながら、草むらの中を荒されては困る。
キジ白猫様の保護確率を著しく低下させる金髪男の行動を止めなければ。
私は、そちらに近寄ろうと足を進めた。

その時、鈴音が聞こえてきた。
方面は、金髪男がいる辺りだった。
音量も大きい。

……なんで、だ?

理由は、さっぱり分からない。

けれども今は、金髪男に草むらの中から出てもらうことが先決だ。
この時すでに草むらの際まで歩いて来た私は、金髪男に注意をしようと息を吸った。
だが、私が吸い込んだ息は声にならなかった。
声を放つその直前に、べつの人物の声が被さってきたからだ。

「もしもし、お宅さん! 草むらの中は一般人の立ち入りは禁止ですよ! 直ちに出てください!」

その声を振り返らずとも、人物の正体は分かった。
休憩から戻ってきた男性である。

私と目が合うと、男性は頷き、任せておけとばかりの勢いで草むらの中に入っていった。
金髪男はまだ電話中であった。
だが、さすがにマズイと思ったのだろう。
謝罪を口にすることもないし、態度で示すこともなかったが、そそくさと草むらの中から退散して、喫煙所付近に戻って行った。

金髪男に続いてこちらに戻ってきた男性に、私は聞いた。

「あれ? まだ休憩時間のはずでは?」
「……いやまあ、そうなんですけどね」

いいながら、男性は頭を掻き出した。
私としては咎めるつもりではなかったので、御礼を伝えた。

「とはいえ、来て頂いて助かりました。丁度、私も注意をしようとしていたところだったので」
「まあでも、いくらこっちが正論をいったとしても、ああいう輩は自分勝手な因縁をつけてきますからね。トラブルになる前に休憩から戻って来て良かったです」
「ありがとうございます。ところで、少しは休めましたか?」
「はあ。一応は座っていましたが、頭と心を休めようとしても、保護活動が今どうなっているのかと、ついつい考えてしまいまして……」

口にはしないが、鈴音のことが一番気になっている様子だ。
今もまだ、鈴音を”聞かせてくれた”のが”シロ”くんであると信じているに違いない。
そのことには触れず、私が会話を進めようとすると、男性が先にいった。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉