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サービスエリアの空の下 80

「それにしても、金髪男はなんで草むらの中に入ったのでしょうね?」

私が気になっている疑問と同じことを、男性は口にした。
なにか見逃してはいなかったか、もう一度、金髪男の行動を事細かに思い返してみる。

喫煙所から出てきた際、金髪男はまだ通話を始めていなかった。
とはいえ、喫煙所から出てきて間もなく、金髪男はスマフォを耳にあて、誰かと通話を始めた。

私の耳に着信音が聞こえたわけではないが、この動作から察するに、喫煙所内にいた段階で着信があり、急いで外に出てきたのだろう。
そして、金髪男は電話をしながら辺りをウロウロし始めたわけだが、これにはやはり、特段の意味があるようには思えない。
通話中に段々と高くなっていくテンションのやり場を、無意識のうちに、歩くという行為で身体の外に放出していたと考えられる。

この時、大声で話していた金髪男は、周囲への迷惑をまったくといっていいほど顧みていない。
元来の性格なのか、若い男特有の粋がり故の行動なのか判断はつかないが、確実にいえるのは、他人への配慮よりも通話の楽しみだけに集中していた、ということである。

その様子を注視していた間、通話を終えるのを待っていた私の耳に鈴音が聞こえてくることはなかった。
つまり、金髪男の動作によって鈴音が鳴るわけではないといえる。

ほどなくして、金髪男のウロウロ歩きがふいに止まった。
キーポイントとなるのは、この瞬間であろう。
私はてっきり、金髪男がようやく電話を切るのかと期待を寄せたが、そうではなかった。
直後、金髪男は草むらの際に向かって歩き出したわけだが、さして意味はないウロウロ歩きの延長だと私は思っていた。

だからこそ、草むらの中に足を踏み入れた金髪男のその動作が、悪びれもなく見えたのだ。
加えて、草むらの中を荒されたらキジ白猫様の保護確率が低下してしまうかもしれない、という懸念を抱いたその時の私は、金髪男の行動を止めなければという考えに駆られていた。

そんな状態の私は、そのタイミングで鈴音が聞こえてきたことに気づく。
よって、金髪男に草むらの中から出てもらうことが先決だと考えた私は、注意を声にしようとした。
すると男性が現れ、私の代わりに注意をし、その結果、金髪男はそそくさと草むらの中から退散した。
その後、喫煙所付近に戻って行ったのは前述した通りである。

上記一連を反芻してみると、私自身の意識は私自身の考えにとらわれていて、ある種、視野が狭まっていたといえるだろう。
そのせいで、金髪男の行動を詳細に観察できていなかったと反省する。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉