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サービスエリアの空の下 81

それでも、反省しているだけでは謎は解けない。
金髪男のウロウロ歩きがふいに止まった瞬間の光景を、私は必死で思い出す。

この際の金髪男の会話内容がなんなのか、詳細は分からない。
ただ、金髪男がウロウロ歩きを止めたのは確かである。
となると、弾む会話よりも気になったなにかがあったのではないだろうか……。
たとえば、なにかの音が聞こえたから気になった、と仮定してみる。

しかし、これについては、いささかの疑問が存在する。
私自身の意識が私自身の考えにとらわれていたとはいえ、なにかの音を聞き逃すほどではなかったからだ。
現実として、金髪男がいた位置と私がいた位置の距離は、それほど遠くはなかった。

では、お互いのうちのどちらかにしか聞こえないくらいの小さな音だったのだろうか……。
その可能性もあるかもしれないが、金髪男は大声で話していた状況だったので彼にもそんなに小さな音が聞こえたとは思えない故、私の見立ては懐疑的だ。

ならば、ひょっとすると、金髪男にも例の鈴音が聞こえたのか……。
鈴音の正体について私が正確に把握していない以上、たとえ金髪男に聞いてみたところで、その検証は極めて困難である。

さすれば、今度は。
金髪男がなにかを目にし、それが気になってウロウロ歩きを止めた、との仮説を立ててみる。
金髪男になにかの音が聞こえたことよりも、この可能性には期待が持てそうだ。
金髪男がいた位置と私がいた位置の距離がそれほど離れていなかったとはいえ、互いの視野には違いがあったからである。

当時私から見えていたのは、ウロウロ歩きを止めて草むら方面に顔をやった金髪男の背中である。
その後、金髪男が草むらの中に足を踏み入れて行くまで、その背中を追ったわけだ。
その最中に、金髪男の視線がどこに向けられていたかは定かでない。
つまり、金髪男の身体が邪魔になって見えなかった部分や方面が私にはあった。
そうなるとやはり、金髪男がなにかを目にし、それが気になってウロウロ歩きを止めた、との仮説は有力かもしれない。

だとするなら、金髪男が目にしたものの正体は、一体全体なんだったのか……。
奇をてらうことなく考えれば、その正体は幽霊状態の”シロ”くんではなく、キジ白猫様か茶色猫様だった可能性が高い。
茶色猫様であったとするなら、だ。
その首輪に付いている鈴音が金髪男に聞こえてきたとしても、何ら不思議はないだろう。

とにかく、キジ白猫様か茶色猫様かは分からないが、金髪男はその姿を目撃したが故に、ウロウロ歩きをふいに止めたのかもしれなかった。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉