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サービスエリアの空の下 83

「彼女かどうかは、どうでもいいだろうがよ! てか、ママからの電話だったんじゃね、本当は?」

金髪男の話を遮って、四人のドライバーのうちの一人がいった。
その途端、ほかの三人がケラケラと笑ったので、金髪男の会話が逸れる。

「ちげえよ! 彼女だって、マジで!」
「じゃあ、なんでわざわざここを出ていったんだよ? コソコソ電話する必要なくね?」
「そんなのは、オレの勝手だろ」
「ママから、『早く帰ってきなさい!』とか怒られたんじゃねえの?」
「ちげえって、いってんだろうがよ! うぜえな!」

金髪男をからかって、四人のドライバーたちがまたケラケラ笑っている。
はっきりいって、どうでもいい話である。
うんざりした私は、男性を見た。

同じくうんざりしていたであろう男性は作り笑いを浮かべながら、五人のドライバーたちの話に強引に割って入った。

「まあまあ。電話の相手が誰でもいいけどさ、草むらの中に入った話の続きをよろしく頼むよ。な?」
「……だったら、面倒だけど、直接あっちで説明する。その方が分かりやすいだろうから」

金髪男は徐に立ち上がると、吸っていたタバコを灰皿に投げ入れた。
どうやら、自分についてこい、という意味らしい。
ニヤニヤとしながら様子を伺っている四人のドライバーを残し、私と男性は、喫煙所を出ていく金髪男の後に続いた。

かったるそうに歩く金髪男が向かった先は、例の、ウロウロ歩きをふいに止めた場所だった。

「彼女と電話しながら、この辺を歩いてたんだよ。そしたらさ、あっちの草むらの木の陰に動くものが見えてさ……」

金髪男の話を引き取り、男性が私に説明を付け加えた。

「彼は、その動くものが『なんだろう?』と気になったそうです。な?」
「まあ、そう」
「それで、その動くものの正体を確かめるために、草むらの中に入ったんだよな?」
「まあ、そう」

その時に視認したものがなんだったのか、私がズバリ訊ねると、金髪男は歯切れが悪い感じで答えた。

「いや、その……なんていうか、どういうふうにいったらいいのかなあ……」

いい淀みながら、金髪男は男性に目をやった。
その視線を受けた男性は頷き、金髪男に代わって私に話し始める。

「彼がいいにくそうにしているのには、理由がありましてねえ」
「どういう理由ですか?」
「つまりその……他人に信じてもらえるか、自信がないんだと思います。な?」

話を振られた金髪男が、迷ったように目を逸らした。
その様子を見て、男性がいう。

「どうか、信じてやってください」
「信じる? 一体、なにをですか?」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉