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サービスエリアの空の下 84

「彼がいうことを、ぜひとも信じてあげてほしいのです!」

そういった男性は、圧倒されるほどに真顔であった。
応じようと、私も真剣に訊ねる。

「信じるも信じないも、先ずは詳細をお聞かせください。話の内容を伺う前から、ああだこうだと決めつけることはしませんよ」
「そうですよね! な? この人は大丈夫だ。ちゃんと話を聞いてくれるし、変な先入観や固定観念で疑うようなことはしないから、ありのままを話してくれ」

男性の後押しに従い、金髪男が再び口を開き始めた。

「……オレが見たのは、”白っぽいもの”だったんだよ」

金髪男が述べることを尊重するべく、私は敬語で話した。

「その”白っぽいもの”っていうのは、生き物ってことですか?」
「生き物……っていって、いいのかなあ……」
「……というと?」
「たぶん……普通に生きてるわけじゃない感じだから」
「”普通に生きてるわけじゃない感じ”というのは?」
「呼吸をしたりしてねえってこと。要するに、幽霊ってやつだよ」
「幽霊……」
「っつっても、人間のじゃなくて、動物の。たぶん、猫っぽかった」

なるほど、男性が目を輝かせているわけだ。
金髪男が見たという白っぽいそれを、幽霊状態の”シロ”くんだと思っているにちがいない。
私が抱いた考え通りのことを、男性が発した。

「ね。彼がいっていることは、実に興味深いでしょう?」

拙速に肯定も否定もせず、私は金髪男に質問を重ねた。

「『猫っぽかった』っていうのは、見た目のことですか? それとも、たとえば鳴き声が猫だった、とか?」
「見た目が、猫っぽかったってこと。っつっても、猫そのまんまの形じゃなくて、ぼんやりと猫っぽい形っていう意味だけど。鳴き声は聞いてない」
「……そうですか。ちなみに、猫っぽい形をしたその幽霊は、首輪などを装着していましたか?」
「首輪? どうだったかなあ……付けていたような気もするし、付けていなかったような気もする。そこまではっきりと観察したわけじゃないから、あんま、覚えてないや」
「分かりました。それで、猫っぽい形をしたその幽霊は、その後どうしたのですか?」
「オレに見られていたことに気づいたのかもしれないけど、あっちの方に移動していった」

金髪男が指さした”あっち”というのは、ちょうど、捕獲器を設置している方面だった。
しかしまあ、幽霊が捕獲器に入るとは思えないし、仮に入ってしまったとしても、おそらくはすり抜けることなど造作もないことであろう。
私は、金髪男の話の続きを待った。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉