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サービスエリアの空の下 85

「だから、オレは草むらの中に入ったわけ。猫っぽい幽霊がどこに向かったのか気になったから。そしたら、この人に見つかって注意されたんだよ」

金髪男の話を聞いて、男性は何度か頷いていった。

「お宅さん、どう思います? その猫っぽい幽霊のこと?」

男性が聞きたい返事は明らかだった。
”シロ”くんの幽霊だ、と私がいうのを期待しているのだろう。
ただ、私には正直分からない。
なので、男性の質問には答えず、金髪男に聞いた。

「ところで、猫っぽい形をしたその幽霊の行き先は結局分からずじまい、ということで間違いありませんか?」
「まあ、ね。注意されずにあのまま追いかけたら分かったかもしれないけど……」

金髪男にいわれて、男性はなんともいえない表情を浮かべながら言葉に窮していた。

それにしても、だ。
金髪男は、今回たまたま幽霊らしきものを見たのだろうか。
それとも、ちょくちょく似たような体験をするのだろうか。
私が聞くと、金髪男は鼻頭を掻いて答えた。

「まあ……たまにって感じかな」
「そういう時、つまり幽霊らしきものを見かける時には、なにか共通点があるのですか?」
「共通点?」
「私自身、幽霊に関して詳しくはないので上手く質問できないのですが……。たとえば、そうですね……幽霊らしきものを見る前に予感めいたものを感じる、ですとか?」
「ああ、そういうことね。予感ってものを感じることは多いと思う。まあ、毎回じゃないけど」
「具体的には、どういったものですか? 寒気がするとか、緊張が走るとか、耳鳴りがするとか、頭痛がするとか、それから……」
「うーん……そういうのじゃないなあ。なんつーか、オレから発信というよりは、幽霊の方からオレに向かって”気づいてくれ”っていうニュアンスで伝えてくるんだよ。それにチャンネルを合わせる感じにすると見える」
「へえ、そういうものなんですね……」
「けどさ、見えるっつってもさ、そのまんまの意味じゃないけどね」
「どういうことですか?」
「まあ、実際には幽霊を目で見ているんだけど、感覚としては目で見てなくて、とにかく感じるってイメージに近い」
「そうですか……」

金髪男の様子を観察している限り、ウソをいっているようには思わなかった。
私が少し黙っていると、男性は一歩踏み出し、金髪男に質問を投げた。

「ちなみに、家で猫を飼っているのかい?」
「今は飼ってない。オレがガキの頃には飼ってたけど、死んじゃったから……」
「どんな猫だったの? 名前は?」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉