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サービスエリアの空の下 86

金髪男は瞬間的に遠い目をしたが、強引に平静を取り戻したかのように見えた。

「うちで飼っていたのは白いオス猫で、”ダイフク”って名前。元々野良猫だったんだけどさ、うちの庭でうまれたんだよ。母猫とか兄弟猫たちはそのうちいなくなったんだけど、”ダイフク”だけはずっと庭に居着いてたから、結局、家の中で飼うことになって」

金髪男が語ったこの逸話は、男性と”シロ”くんの思い出と似通った部分がある。
男性自身もそう感じたであろうことは、いうまでもない。
金髪男と”ダイフク”くんに、自分と”シロ”くんへの想いを重ねたらしい男性は、より親身な話しぶりになった。

「そっか……そっか……。”ダイフク”くんは幸せだったろうね」
「まあ、そうだといいけど……」

その後しばらく、金髪男と”ダイフク”くんの思い出話が続いた。
それに耳を傾けた男性は、その都度やわらかい笑みを湛えている。
最中、男性が金髪男にこぼした。

「……”ダイフク”くんの姿、見てみたかったなあ」
「あるよ」
「え!?」
「見る?」
「ぜひ、ぜひ!」

金髪男は、自分のスマフォに保存している”ダイフク”くんを男性に見せた。
それに目を落とした男性は、いよいよ”シロ”くんへの想いが溢れたのだろう。
涙ぐんで鼻をすする。

「うん……想像通り、幸せそうな顔してるねえ」
「猫、そんなに好きなんだ?」
「ん? まあね」

その話の流れで、男性は”シロ”くのことを話し始めた。
そうして、今現在、私の協力を得ながら、キジ白猫様の保護に向けて努力をしている旨も伝える。
それだけではない。
聞こえてくる不思議な鈴音についてや、幽霊状態の”シロ”くんについても、包み隠さず話した。

すると、黙って聞いていた金髪男がいった。

「っつーことは、今、この草むらの中にそのキジ白猫がいるんだ?」
「絶対ではないけれど、可能性は高いと。ね?」

男性から急に話を振られて私は頷き、金髪男にいう。

「この男性が仰ることに、間違いはありません。そこで、鈴音についてお聞きしたいのですが……」
「オレには一度も聞こえてないよ、今のところ」
「そうですか……」

金髪男は霊感がありそうなので、もしかしたら鈴音の正体が掴めるかもしれない、と期待したが残念だ。

金髪男の話は続く。

「オレがさっき見かけた”白っぽいもの”が、そのキジ白猫だと思っているなら、それは違う。あれは生きた猫じゃなくて、猫っぽい幽霊だから」

この発言に対して、男性はむしろ、よろこんでいるように見えた。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉