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サービスエリアの空の下 89

男性との会話が一旦の滞りを見せた後、私は提案した。

「念のため、捕獲器の様子確認をお願いできますか?」
「そうですね。丁度良いタイミングかも分かりませんね。早速、様子見に行ってきます」
「捕獲器になにか変化があったなら、そのままの状態で一度電話をください」
「そうします。ところで……」
「なんでしょうか?」
「捕獲器の様子確認が終わって戻ってきたら、ちゃんと休憩なさってくださいよ」
「あ……確かに、そういう約束でしたね。分かりました。集中力の維持のためにも、しっかりと休憩を取らせて頂きます」

男性は目じりにシワを寄せ、やさしく微笑んだ。
そうして、

「では、行ってきます!」

と張り切り、私に背中を向けた。
そのまま勢いよろしく、男性が草むらの中に足を踏み入れた瞬間だった。
私の耳が音を捉えた。
しかしそれは、鈴音の音ではない。
明らかに金属音で、それはつまり捕獲器のフラップが閉まるカシャンという音だ。

もちろん、この音は男性にも聞こえたようだった。
素早く私を振り返り、目を見開いている。

「……今、今の音はひょっとして!?」
「はい。この金属音を、私が聞き間違えるはずはありません。さっき聞こえた音は、十中八九、捕獲器のフラップが閉まった音です!」
「なにが入ったのでしょうか!?」
「さすがに、音だけでは分かりません。ただ、あれ以降音が聞こえない状況から鑑みるに、捕獲器の中に入ったなんらかの生き物が暴れているわけではなさそうです。とにかく直接目で見て確認を!」
「はい!」

興奮した様子で確認に向かう男性であったがしかし、すぐに立ち止まってしまった。

「……どうしました?」

私の問いかけに、多少上擦った声で男性が答える。

「一緒に行きましょう!」
「え? でも……」
「緊急事態ってことで、大丈夫です。ついてきてください!」
「分かりました!」

この時ばかりは、関係者が一緒だからと男性の許可が下り、私も一緒に草むらの中へ入っていった。

男性の様子からするに、捕獲器の中になんらかの生き物(もっといえば、キジ白猫様か茶色猫様)が入ったものだと信じて疑わないようである。

けれども、だ。
私からしてみれば、この時点ではまだ、そうではない。
捕獲器の中に入ったのではなく、なんらかの生き物が捕獲器に触れた衝撃(たとえば、設置している手作り食に興味があるが、中に入るのを警戒し、捕獲器の側面や天面にちょっと触れてみたなど)でフラップが閉まってしまった可能性も否定できないからであった。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉