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サービスエリアの空の下 91

周囲の様子をしばらくの間注視してはみたが、私は結局、生き物の存在を確認できなかった。
無念さの滲む手でスマフォを取り出し、男性に電話をかける。
通話状態になった途端、緊張感で染まる男性の声がした。

「……捕獲器の中にいたのは、キジ白猫でしたか? 茶色猫でしたか?」
「いや、そのどちらでもありません」
「ああ……そうですか……。じゃあ、ほかの生き物が?」

残念な気持ちを一気に垂れ流す男性に、私は告げた。

「とりあえず、こちらにお越しください」
「分かりました……」

こちらに向かってくる男性の足取りは重く、その顔にはすっかりと覇気が失われている。
その心情を映した声音も、実に弱々しい。

「捕獲器のフラップが閉まっていて、中の手作り食の量にも変化がないってことは、もしかして……また、ミスをやらかしてしまったようですね……すみません」
「フラップの止め方が甘かったことが原因かどうかは分からないので、まあ、そんなに落ち込まずに」
「はあ……」
「いずれにせよ、もう一度、捕獲器の設置を行いましょう」

そうはいっても、落ち込んでいる男性には無理そうだったので、私が捕獲器の設置をし直した。
それが終わると、男性が聞いてきた。

「この後は……どうしましょう?」
「やるべきことに大差はありません。引き続き、同じことの繰り返しです」
「でしたら、休憩を取ってください」
「はあ……」

私としては、我慢できないほどの疲労を感じているわけではなかった。
しかし、自覚のない疲労が原因で、いざという時に重大な判断ミスを犯してしまう可能性もある。
それを防ぐ意味で集中力と体力の維持を保つためを思えば、確かにここいらで一度、休憩をはさむべきかもしれない。

「そうですね。では、お言葉に甘えて休憩を頂こうかと思います」
「そうしてください。じゃあ、草むらの中を出ましょう」

歩き出そうとする男性に、私はお願いした。

「待ってください。休憩に入る前に、ぜひともやっておきたいことがあるのですが」
「なんでしょう?」
「せっかく草むらの中に入れたので、少しばかり、周囲の様子確認をさせて頂けませんか?」
「構いませんよ。ついでですし、一緒に草むらの中を一周しましょう。休憩はその後ということで」
「ありがとうございます」
「どういうルートで回りましょうか?」
「草むらの中の立地は私よりもお詳しいでしょうから、ルートはお任せします。先導してください。ついていきますので」
「分かりました。じゃあ、行きましょうか」
「お願いします」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉