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サービスエリアの空の下 92

男性の後に従って、私は草むらの中を歩き回った。
それまでは外から見るだけだったので詳細は分からなかったが、草むらの中は思いのほか自然に近い環境であった。
この環境なら脅威になる外敵はいないし、車に轢かれる心配もない。
加えて、一般人の立ち入りが禁止されている故、人目を気にすることなく、茶色猫様が行き来しているのも頷けた。

歩き回りながらそのことを私が話すと、男性は重ねた。

「キジ白猫も同じように行き来しているなら、けっこうな広範囲になるので、捜し回って保護するには、やはり時間を要しますよね……」
「長期戦になる可能性は、はじめからありましたから、私としては特段の焦りはないので大丈夫です」
「そういう心構え、見倣わなくちゃいけませんよね……」

それにしても。
草むらの中を自分の目で直接見れたことは、大きな収穫となった。
得た収穫の中で一番なのは、捕獲器の適切な設置場所候補がいくつも発見できたことだ。

また、草むらとその向こうに広がる住宅地の境に建つフェンスを視認できたことも、大いに役立つ出来事である。
理由は、フェンスの一部に残された被毛から、茶色猫様やキジ白猫様が日頃通っていると思われるルートを、いくつか割り出せたからだ。
ただし……。
しつこいようだが、私が自由に草むらの中へ立ち入ることはできない。
率直に、その現実を歯痒く思う。

だから、捕獲器の設置は男性にお願いするしかないわけだが……今の男性のメンタルを考えるに、憂慮せざるを得なかった。
捜索中及び保護活動中はもっとブレずに、もっと動揺することなく、気長に、焦らず臨んでほしい。
それができなければ、それこそ、重大な局面でミスを犯しかねなからだ。
なので、私はとにかく、男性のモチベーションを上げる方法に考えを巡らせ、発言した。

「しかし、この立地環境だと、私一人で捜索や保護活動に着手していたら、正直、大変です。手伝って頂けて、本当に助かっています」
「……そう、だといいのですが」
「そう、ですよ」

私がそういっても、男性の顔には未だ、自嘲するような薄笑いが張り付いている。
それでもしかし、少しだけだとしても気分を変えようとしているのだろう。
男性は話題を絞り出した。

「……ところで、もし捕獲器の数がもっとあったとしたらですが、お宅さんなら、どの場所に設置しますか?」
「ええっと、ですね……」

今後、捕獲器の設置場所を変えるタイミングが来ることも考えられるので、私は丁寧に、設置候補場所を男性に教えた。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉