新着情報

サービスエリアの空の下 93

男性を連れ立った私は、捕獲器の適切な設置場所候補を一つずつ巡り、置く位置や向きを伝えた。
男性は、その一つ一つを、いつのまにか持参していたメモ帳を取り出し、書き記していく。
そうやって、私がすべてを教え終わると、男性はいった。

「これで、全部ですよね?」
「はい。この草むらの中における捕獲器の適切な設置場所候補は、以上になります」
「分かりました。ありがとうございます。では……草むらから出ましょうか」
「そうですね」
「ここから出たら、そのまま休憩に入ってください」
「はい」

私と男性は、草むらから出ようと歩いている最中も、キジ白猫様や茶色猫様の姿を捜していた。
しかし、どちらも見かけることは叶わなかった。
鈴音に関しても、一度も聞こえてくることはない。

そうした目に見える進展のなさに不安が募ったのかもしれない男性が、私に聞いてくる。

「お宅さんが休憩中、なにをしていればよろしいですかね?」
「そうですね……」

現状、やれることの選択肢は少ない。
一つは、草むらの中を捜し回ってもらいながら、キジ白猫様と茶色猫様の姿を見つけるか、だ。

ただ、仮に、どこかで二匹の姿を目撃したとしよう。
だとしても、その後、男性になにをしてもらうか……。
二匹の行く先を追ってもらう案も無意味ではないが、今の時点では、その重要度はそれほど高くないと私は考える。
なぜならば、二匹の主な活動範囲はこの草むら一帯であることが、はっきりしているからである。
また、フェンスの向こうに広がる住宅地も、二匹の主な活動範囲なのは、ほぼ間違いなさそうだ。
そこまで分かっているので、捜索範囲と保護活動範囲を無理に広げる必要はない。
先ずは、草むらの中に重点をおき、その流れ如何では、住宅地にも足をのばす方が賢明だ。

選択肢のもう一つは、やはり、張り込みに近い形の捜索継続といえるだろう。
しかも、草むらの中でではなく、草むらの外で行う方がいい。
理由としては、その方が視野を広く保てるからだ。
加えて、草むらの外では、いつ何時、キジ白猫様や茶色猫様がサービスエリアを訪れる人々の目に触れるか分からない。
そうなると、二匹が誰かからエサをもらう可能性があるので、それを防ぐ意味でも、草むらの外にいるべきだろう。
同時に、二匹が車に轢かれないように注視することが必須だと考える。

鈴音に関しては、こちらが望む望まないにかかわらず聞こえてくるので、タイミングを計ることが困難だ。
ならば、それに対して気を回しても致し方ない。
ほかの作業中であっても鈴音が聞こえるのであれば、その都度の対応で問題ないだろうと思う。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉