『ビタミンD』に関係することについて、最後にあらためて綴っておきたいのは、ペット様の日光浴の件です。
以前は、日光浴不足が原因で『ビタミンD』欠乏症を引き起こし、若年ペット様がクル病になってしまう、という危険性が真しやかに叫ばれていました。
しかしながら。
『ペットフード 59』でも書かせて頂きましたが、犬様・猫様は私たち人間と違って、太陽光の紫外線を浴びても、『ビタミンD』を自身の体内で生合成することが得意ではありません。
ですから、日光浴不足によってペット様が『ビタミンD』欠乏症に陥る、という話は説得力に欠けますので、食生活の見直しなど、ほかの原因に目を向ける必要があるかと存じます。
そうなると、ペット様に日光浴は不必要なのかと思われるかもしれませんが……決して、そうではありません。
理由の一つとしましては、太陽光を浴びることにより、ペット様の体内で『セロトニン』というホルモンの分泌が促されるからです。
『セロトニン』が及ぼす効果の一例としましては、
・交感神経を刺激し、血圧上昇・心拍数上昇・体温調節などを行い、脳を覚醒させて体内時計をリセットする
・ストレスを受けて分泌される『ノルアドレナリン(攻撃性が増す興奮ホルモン)』の働きを抑制し、脳内でのホルモンバランスを調節する
・過剰に分泌される『ドーパミン(モチベーション上昇)』が原因の快楽依存症を抑制し、脳内でのホルモンバランスを調節する
・精神状態の安定による幸福感
などがあげられます。
私たち人間も、昼夜逆転の生活を送っていると体内時計が狂い、様々な心身の不調をきたしてしまいますが、それはペット様においても例外ではない(睡眠障害・換毛期のズレなどの原因になる)といいます。
お忙しい毎日を送っていらっしゃる飼い主様方の中には、ついつい夜更かしをなさってしまう日々もあるかと存じます。
となると、共に暮らしているペット様の生活リズムも当然それに倣う形になることでしょうから、くれぐれもご無理をなさらず、早めのご就寝につとめて頂ければと存じます。
また。
日光浴不足などで『セロトニン』が欠乏すると、吠え癖・噛み癖などの問題行動の一因ともいわれている、キレやすくなる・不安になる・落ち着きがなくなる・鬱っぽくなる、といった極端な気分転調の症状が現れやすくなることも指摘されています。
とりわけ、シニア期のペット様は太陽光を浴びる時間が少ないと自律神経が乱れがちになり、ストレスや不安感を感じやすくなるそうです。
太陽光を浴びることは、成長ホルモンの活発化にも繋がります。
紫外線の殺菌作用によってカビ・細菌の繁殖を抑えられ、皮膚病予防に期待も持てます。
ですので、紫外線を浴びてはいけない疾患をお持ちでない限りは、日射病や熱中症、皮膚や被毛の日焼けなどに注意しながら、ペット様の適度な日光浴を推奨致します。
〈続く〉
あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように
富山桃吉