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同じ光景

メビー・ラックのお店に出勤する際、ぼくは毎日、いくつかの公園脇を通り過ぎる。
その道なりには大小様々な公園が点在しているのだが、どの公園にもそれぞれの趣きがあり、滞在する方々もまた違う。

たとえば。
広くはなくとも、健康増進目的のちょっとした運動器具を備えた公園には、やはり運動しやすい格好で訪れている方々がさわやかに汗を流していらっしゃる。

ビオトープにこだわった公園では、それらを愛でる方々のゆったりとした時間が流れている。

近隣の保育所から遊びに来てる子どもたちで賑わう公園には、陽だまりの中にいくつものはしゃぎ声が弾んでいる。

大きな都立公園では、犬様と飼い主様のお散歩姿をよく目にするし、親子連れやカップルの姿、ご年配の方がのんびりとされていらっしゃる。

どの公園の光景も穏やかで、ぼくにとっては通勤時の一服の時間となっている。
一見すると変化に乏しいつまらないと感じてしまう”同じ光景”でも、心の持ちようによっては上記のように肯定的に捉えられる術を知っていると、人生を少し豊かにできるものだ。

今朝の出勤時もそんなふうな心持ちを抱いて歩いていると、とある公園脇に、一台の車が停車していた。

……なんだろう?

よく見る光景ではないので目を凝らすと、車体の後方部に黒板が立てかけられているのに気付いた。
そこには”公園整備中につき、ご迷惑をおかけします”というお知らせが書かれていた。

当然といえば当然なのだが、公園にある器具や遊具は定期的なメンテナンスがされているからこそ、利用者が安心して使用できる。
作るだけ作ってあとは放置では廃れる一方で、利用者が事故に遭うリスクがあがってしまう。

老朽化が原因なのか、いい加減な作業員の方がメンテナンスしたせいなのか、時にそういった不幸な事故が起こることもある。
だが、総じて、作業員の方々がしっかりとしたメンテナンスをしてくれているおかげで、穏やかな光景の恩恵を授かれるわけだ。

ぼくが今朝目にした作業員の方々は、冷えた朝にもかかわらず、一つ一つの器具や遊具に対して念入りなメンテナンスを行っておられた。

「ありがとうございます」

白い息を吐きながら、ぼくは自然と彼らに感謝の言葉をもらした。

きっと、ぼくが口にした言葉は、彼らの耳には届いていない。
けれども、ぼくのような想いを抱いている方々はほかにもたくさんいらっしゃるはずだし、彼らは自分たちがしている仕事が誰かの穏やかな光景に繋がっていることにやりがいを持っているであろう。
それを彼らに直接確認しなくても、入念に作業する姿にぼくはそう思い、敬意を抱いた。

出勤に急ごうとした矢先、公園の奥の茂みから、一匹の猫様が姿を現した。

”キミもこの公園をよく利用しているんだね”
”そう。日向ぼっこにはもってこいの場所だからさ”

猫様は、作業員の方々がメンテナンスを終えたであろう遊具の上に飛び乗った。

その光景は、実は毎日見られる”同じ光景”なのかもしれない。
そうだとしても、ぼくは初めて見る光景で、明日も”同じ光景”が見られたらうれしいなと思った。

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉