昨日。
十月三日 十五時三十三分。
その瞬間、私たちメビーラックのスタッフ一同は、ご滞在中の犬様たちのお世話中でした。
彼らと一緒に走り回って遊んでいるうちに、彼らを抱きかかえながらお昼寝を促しているうちに、その瞬間はただただ流れていったのです。
おかげさまで、私たちメビー・ラックは昨冬から一日の休みもなく、飼い主様方やペット様方のパートナーを担わせて頂く毎日です。
それが故、その瞬間は、もはやとても日常的でした。
そうはいいましても。
その瞬間は、私たちメビー・ラックにとって特別な意味を持つ瞬間でもありました。
なぜならば。
個人的なことで恐縮ですが、ちょうど一年前のその瞬間は、推定十七歳二ヶ月を生きたライク(詳細につきましては『「はじめまして」が繋ぐもの』シリーズ・『31,426,197の鼓動と共に』・『散歩道』などを参照)が安らかに永眠した瞬間でもあったからです。
そんな昨日から一晩が明け、心中に去来する想いは、ライクとの愛しき日々にまつわるものです。
私とライクの日々を織り成す物語の一部には、確かに涙で滲む思い出があります。
非力を嘆き、ふがいなさに沈む思い出もあります。
本当にこれで良かったのかな……と、立ち止まっては塞ぎ込んだ思い出もあります。
もちろん、それらだけではありません。
色褪せぬよろこびの思い出があります。
ライクのおとぼけに、笑い転げた思い出もあります。
温もりにまもられた絆を、確かに信じられる思い出もあります。
それらすべてが、私とライクの世界で唯一の物語です。
それらすべてが、私にとって愛しき日々です。
それらすべては、今も、私の心で眩しく輝いています。
だけれども。
私はまだまだ未熟者だから、愛しき日々が眩しすぎて、さみしさに暮れる時があります。
愛しき日々が眩しすぎて、かなしみに連れ去られる時があります。
眩しすぎて、眩しすぎて、瞼を閉じたくなる時があります。
眩しすぎて、眩しすぎて、眩しすぎて、誰かの声と手を繋ぎたくなります。
そうして、どうにもこうにも頑張れなくなると、私は尋ねるのです。
「そんな私……ライクはどう想う?」
すると、ライクはきまって伝えてくれるのです。
≪それでいいんだよ。自分らしい方がいいんだよ。大丈夫。未来もちゃんと眩しいよ≫
相変わらずのおとぼけ顔でそう伝えてくれるから、私はきまって笑みをこぼしてしまいます。
おかげで、私は今も、私自身で生きていられるのです。
あの日迷子で彷徨っていたライクと出逢っていなければ、メビー・ラックがこの世界に存在することはありませんでした。
無論、メビー・ラックを通じて出逢った飼い主様方やペット様方とも、顔見知りになる機会は訪れなかったことでしょう。
ひとえに、ライクには感謝しかありません。
そして今??
ライクという、世界で唯一の彼が導いてくれた出逢いの数々を反芻しながら切に願うのは、皆々様方の幸せな毎日です。
あなた様方と暮らすことを選んでうまれてきた、あなた様方の大切な存在??
その彼らとあなた様方が紡ぐ、世界で唯一の物語。
世界で唯一の愛しき日々。
それらを照らすパートナーとして、私たちメビー・ラック一同はこれからも精進して参る所存です。
「ライク! これでいいよね? これがいいよね!」
≪それでいいんだよ! それがいいんだよ! 大丈夫! みんな、みんな、眩しい存在だよ!≫
相変わらずのおとぼけ顔でそう伝えてくれるから、私は今日も、やっぱり笑みをこぼしてしまいました。
出逢ってくれてありがとう、ライク!
あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように
富山桃吉