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捨てる人・拾う人 中編

住宅街の角を曲がった道の並びにコンビニエンスストアがあるのですが、私が小型犬様を連れた男女二人組を見かけたのは、ちょうどその角を曲がろうとした時でした。

そのコンビニエンスストアの前に延びる車道は、昼夜問わず車の往来が頻繁です。
とはいえ、それを気にする素振りもない男女二人組は、それぞれの手に持ったビニール袋を乱暴に揺らしながら、信号機も横断歩道もないその道を渡ってきたのです。

危ないなあ……。
私の心配通り、男女二人組は行き交う車にクラクションを鳴らされました。
それでも彼らはケラケラと笑いながら小走りをして、コンビニエンスストア側の歩道に辿り着きました。

その時点で気づいたのですが、どうやら彼らは酔っぱらっているようでした。

道路を横断している間、小型犬様は繋がれたリードを強引に引っ張られていたので嫌だったのか、渡り終わった後に立ち止まって座り込んでしまいました。
その姿にイラついたようで、咥えていたタバコを道に投げ捨てた男の方は、小型犬様に向かって悪態をつきました。

「はやく歩けよ。さみーんだから」

女の方も便乗し、

「飼い主のこと舐めすぎ。めんどくせえ」

と吐き捨て、傍に立つ外灯のポール部分にリードを巻きつけました。
その勢いも手伝ってなのか……彼らは小型犬様をその場に置き去りにし、コンビニエンスストア前に設置されていたゴミ箱に持っていたビニール袋を投げ捨て、店内に入っていきました。

寒空の下、残された小型犬様はブルブルと震えながら、去って行く彼らの後ろ姿を見つめ続けていました。
彼らの背中がコンビニエンスストアの中に消えると、小型犬様は小さく吠えました。

万が一、盗難や逸走事故に遭ってはならない!
私は無意識のうちに、小型犬様の方へ歩み寄りました。

すると、私に気づいた小型犬様は尻尾を振りながら、私の足にすり寄ってきました。
私はその場にしゃがみ込み、

”大丈夫。きっと直ぐに戻ってくるから”

と小型犬様に伝えました。

ところが。
男女二人組はしばらく経っても戻ってきません。

厚着をしていた私でも、吹きすさぶ冷たい風のせいで身震いが止まらないほどの寒い夜です。
ドッグウエアを着ていない小型犬様も、寒いに違いありませんでした。

さすがに遅いなあ……。
携帯電話の時計に目をやって確認すると、男女二人組が小型犬様を放置してから15分くらいが経過していました。

”ちょっと、二人の様子を見てくるから待ってて”

そう説得を試みた私の目を、小型犬様はじっと見つめてきました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉