新着情報

昨今のペット飼育事情について 〜犬様のお散歩にまつわる事〜19

「理論という響きから連想すると『小難しいテクニックを要するのでは……?』と誤解されがちですが、クリッカートレーニングは本当に、至ってシンプルな方法なのです」

もう一度念を押して、K様は柔和な眼差しを私に向けた。

「簡単に言えば、飼い主が望む行動を犬が正しく行った際にクリッカーの音を鳴らすのです。そして、すかさず『えらいね〜、良い子だね〜』と声をかけながら犬を撫でてあげます。犬に合わせた一日の摂取カロリーを調整している飼い主であれば、ご褒美におやつをあげても効果的でしょう」
「要するに……音が鳴ると、犬様にとって嬉しいことがあると教えるのですね」
「はい。飼い主が望む行動を犬が正しく行う度にクリッカーを鳴らす。それを繰り返すことで、犬は自発的に行動を起こすようになります。そうやってポジティブな行動を強化していけば、室内での排泄習慣がない犬も、いずれ、玄関や屋根付きベランダ等の雨に濡れない場所で
の排泄を覚えるでしょう」

K様が続けた説明によると、排泄場所を教えるにあたって本格的なトレーニングを開始する前には、効果を期待できる順序があるという。
クリッカーの音が合図となるこのトレーニング方法の効果を高めるには、先ず、排泄場所を教えることを抜きにして、ただ単にクリッカーの音を鳴らしたら犬様にご褒美をあげる、というシンプルなことから始めた方がいいらしい。
犬様自身に、クリッカーの音が鳴るとご褒美をもらえると覚えてもらうことが先決で、その後に段階を踏まえたトレーニングに移行する。

「そうやって気長に取り組むことが大事で、くれぐれも焦りは禁物です。つまるところ、飼い主の心の余裕と忍耐が成功のカギを握っているわけです」

ポジティブな行動の強化を利用すれば、ほかのしつけトレーニングにも応用できそうだ。
逆に考えると、ネガティブな行動の強化に、飼い主様は気をつけた方がいいだろう。

例えば、トラウマなどを抱えていない犬様が、かまってほしくて吠えたとする。
近所迷惑などを懸念する飼い主様は、それを止めさせようと、叱ったりなだめたりして犬様にかまう。
すると犬様は、吠えれば飼い主様がかまってくれると覚えてしまう可能性が高い。
結果、飼い主様が望まないネガティブな行動、つまり犬様が吠える行動が強化されてしまうという悪循環だ。

いずれにせよ、K様が仰った通り、犬様の行動は、飼い主様の態度次第で良くも悪くもなる。
まさに、子育てのそれと一緒だ。
良いことばかりではなく、大変な時もあるだろう。

それでも、どんなペット様であれ、飼い主様が寄せる愛情は不変であるはずだ。
親子愛・友愛に通ずると言っても過言ではない。

良いことも大変なこともある暮らし。
それがあればこそ、ペット様と飼い主様の絆はより深まり、互いにかけがえのない存在となっていく。

そう。
ペット様とのすべての時間や出来事は、飼い主様の宝物。
飼い主様とのすべての時間や出来事は、ペット様にとっても宝物。
私は、そんな風に生きている。

きっと、そう。
あなた様も、そんな風に生きている。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉