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深く考えさせられる問題 12

チワワ様に唸られたダックスフント様は、興奮のボルテージをさらに上げて吠え続けている。
ここでやうやく、”モンスター飼い主”が事態に気づいた。

これで、無事に事態が収束するか……。

私はそう思いかけたが、大間違いだった。

自分の犬様が、他人やほかの犬様に吠えかかっている状態に直面した場合、常識ある飼い主様であれば、とにもかくにも危険を回避する行動に出るであろう。
他人やほかの犬様から自分の犬様を早急に引き離し、落ち着かせるはずだ。
続いて、相手やその犬様に怪我がないかをお伺いし、心からの謝罪をする流れとなる。

しかしながら。
”モンスター飼い主”は違った。
ダックスフント様を早急に引き離そうとすることはしないし、落ち着かせる様子もない。
それどころか、チワワ様やその飼い主様に怪我がないかの気遣いを見せる素振りすら見せない。
心からの謝罪をするつもりも、毛頭ないようである。
それを証拠に、ダックスフント様へと近寄って行く”モンスター飼い主”の足取りはいかにもかったるそうで、その表情は極めて不愉快そうであった。

私をさらに驚かせたのは、”モンスター飼い主”がその後に発した言葉にである。

「ちょっと、あんた! うちの子になにをしてくれたのよ!? こんなに吠えるほど怖がらせるなんて、どんな意地悪をしてくれたわけ!?」

悪意ある言いがかりとは、まさにこのことだと思った。
一方的に突っかかってこられたチワワの飼い主様は、

「意地悪って……」

と漏らしただけで、二の句が継げないでいる。
それをいいことに、”モンスター飼い主”は尚も食って掛かった。

「謝んなさいよ! この子にも、アタシにも!」

その怒声に感化されたのだろう。
ダックスフント様はさらなる興奮を見せ、立ち尽くしていた飼い主様とチワワ様に向かって、狂ったように吠えた。
抱っこされていたチワワ様は、それに応戦するように吠え返す。
すると、”モンスター飼い主”の顔がみるみるうちに鬼の形相へと変化した。

「コラッ! うちの子を怖がらせないでよ、バカ犬!」

罵声を浴びせられて、さすがに頭にきたのであろう。
飼い主様が怒気をはらんだ声で反論した。

「バカ犬って……そんな言い方止めてください!」
「だって、バカ犬じゃない! そんなことよりも、はやく、うちの子に意地悪するのを止めさせなさいよ!」
「見れば分かりますよね!? 意地悪なんてしてませんよ。むしろ、あなたの犬が勝手に興奮してるだけじゃないですか。怖いので、はやく止めさせてください」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉