過去ブログ『深く考えさせられる問題 12』の文末でチワワ様の飼い主様がいった、
「見れば分かりますよね!? 意地悪なんてしてませんよ。むしろ、あなたの犬が勝手に興奮してるだけじゃないですか。怖いので、はやく止めさせてください」
という主張は、もっともだと私も思う。
だが、”モンスター飼い主”の思考回路は一般常識とズレているので、キレ続けた。
「はあっ!? 興奮してるのは、そのバカ犬とあんた自身でしょ! 怖いなら、さっさと店から出て逃げれば!?」
この言いぐさは、店に対する営業妨害ではないかとさえ、私は感じた。
とはいえ、店員は今もバックヤード内で見て見ぬふりを決め込んで、営業妨害を自ら防ぐ努力をしようとしない。
その点では自業自得であるし、自分の店に買い物に来てくれているお客の安全を守る意識が希薄なのは、甚だ残念である。
とにもかくにも、だ。
”モンスター飼い主”に絡まれている飼い主様とチワワ様こそが、純粋な被害者といえる。
それにしても、”モンスター飼い主”に因縁を付けられたチワワ様の飼い主様は、少なからず、この状況に憤慨しているであろう。
とはいえ、”モンスター飼い主”とこれ以上の関わり合いを持ちたくはない気持ちが優先しているのかもしれない。
それ以上はもう言葉を発することをせずに、そのまま店から立ち去ろうとした。
ところが、だ。
チワワ様の飼い主様のそんな心情が、ダックスフント様に通じるはずはない。
まるで獲物を逃がさないようにするがごとく、立ち去ろうとする飼い主様の行く手に回り込む。
瞬間、咬まれるかもしれない、という恐怖が飼い主様の表情を這う。
一方の”モンスター飼い主”は、意地の悪い笑みを浮かべながら、その光景をたのしんでいた。
これはもはや、行き過ぎだ。
看過することはできない。
”モンスター飼い主”に向かって、私は声を投げた。
「あの、ちょっといいですか」
私の登場に、ダックスフント様が吠えるのを止める。
すると、”モンスター飼い主”は挑むような眼差しで振り返り、
「ああ!? なによ!?」
と言い放って、ようやく私という存在を認識した。
そして、私にではなく、チワワ様の飼い主様の方に確認する。
「こいつ誰!? 仲間!?」
無言で首を振る飼い主様に代わって、私はいった。
「知り合いでもなんでもありません。ただの客です」
「あ、そ。で?」
「危ないなと思いまして」
「なにが?」
「この状況が」
「は? どこが?」
「全部が、です」
”モンスター飼い主”のイライラが、メラメラと燃え上がる。
〈続く〉
あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように
富山桃吉