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深く考えさせられる問題 14

「全部ってさ、アタシやうちの子も含んでってこと!?」
「はい」
「は? 意味がわからない! どう危ないっていうのよ!? 危ないのは、どう考えてもあっちでしょうが!?」

”モンスター飼い主”が、立ち竦んでいる飼い主様とチワワ様のことを、乱暴に指さした。
途端にビクッとした彼らが、すがるように私を見る。

その眼差しを受け止めた私は、小さく頷いた。
そうして、メラメラと燃え盛る”モンスター飼い主”のイライラと対峙する。
とはいえ、”モンスター飼い主”のイライラに呑み込まれないよう、用心する必要があるだろう。
私はあえて、淡々と意見を述べた。

「傍から見れば、双方ともに、危ない状況ですよ。このままでは、興奮しているあなたの子は咬みついてしまうかもしれませんし、同じく興奮状態のそちらの子は抱っこされている位置から落下してしまうかもしれません」

”モンスター飼い主”も飼い主様も、お互い、自分の犬様に目をやった。
間髪入れずに、私は続ける。

「ご自分たちの子に、万が一の事故や怪我がないようにするためにはどう振る舞うべきなのか、お互い、それを第一に考えませんか?」

もっともなことを私にいわれて悔しいのだろうか、”モンスター飼い主”は口の端をピクピクさせている。
一方のチワワの飼い主様は鼻から短く息を吐き、下唇を噛んだ。
互いの飼い主様のそんな様子とは対照的に、ダックスフント様もチワワ様も、すっかり落ち着きを取り戻している。

それにしても、だ。
”モンスター飼い主”やダックスフント様から一方的に絡まれたチワワの飼い主様にしてみれば、両成敗のニュアンスを含んだ私の言葉に、少なくはない不満が残るだろう。

しかしながら、”モンスター飼い主”の行動だけに意見を述べて注意を促せば、火に油を注ぐ結果になるのは明白だ。
そうなってしまう方がややこしい。
であるからして、お互いの犬様を第一優先にした言葉を私は選択した。
この場をできるだけ丸く収めるには、とにかく、双方の犬様への気遣いが鍵となると思ったからである。
飼い主様とその腕に抱かれるチワワ様を、”モンスター飼い主”とダックスフント様の脅威から一刻も早く遠ざけるには、この選択しか思い浮かばなかった。

そうした私の考えが、多少の功を奏したのかもしれない。
”モンスター飼い主”は私に対し、これ以上の憎まれ口を叩くことはなかった。
チワワの飼い主様も、私の意図を察してくれたのであろう。
不必要な言葉を挟むことはなかった。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉