新着情報

秋田犬の贈呈 下

秋田犬保存会のホームページによれば、同保存会の信念と目的については以下が明記されている。

”信念と目的
(目的)
第4条
この法人は、天然記念物秋田犬の保護繁殖並びにその本質に基づく体形の固定化、諸要素の向上を図り、わが国の秋田犬による文化の発展に寄与するとともに世界の犬種として海外に発展せしむるをもって目的とする。

(事業)
第5条
この法人は、前条の目的を達成するために次に掲げる事業を行う。

1、秋田犬に関する犬籍、犬舎号の登録及び血統書の発行
2、秋田犬に関する展覧会、鑑賞会の開催及び研究会、座談会等の指導育成
3、秋田犬の固定化保護、繁殖及び普及を図る
4、会報「秋田犬」及びその他の他刊行物の発行
5、その他本会の目的を達成するために必要な一切の事業”

上記に基づき、秋田犬の贈呈が行われているわけだが――
この文言を読んでも尚、私はやはり、秋田犬の贈呈という発想に違和感を感じる。

同保存会が主張している、

”世界の犬種として海外に発展せしむるをもって目的とする”

という考えは、理解できなくもない。

それでも、だ。
たとえ、プーチン・ロシア大統領やフィギュアスケート女子金メダリストであるアリーナ・ザギトワ選手が動物好きであったとしても、”命ある生き物”を贈呈するという発想に、私は抵抗を覚える。
べつに、贈呈という手段を用いらなければ秋田犬の保存が困難に陥ってしまう、というわけではないはずだからだ。

加えて。
秋田犬は、殺処分を待つ保護犬でもない。
よって、プーチン・ロシア大統領やフィギュアスケート女子金メダリストであるアリーナ・ザギトワ選手に引き取ってもらわなければ、秋田犬が直ちに不利益を被ることもない。

一国の大統領やオリンピックで金メダルを獲得した選手に秋田犬を贈呈したことがニュースで取り上げられれば、確かに、同保存会の知名度は上がるだろう。
それに伴い、秋田犬の存在を世界に発信できるのも頷ける。

けれども、同保存会が発足した(昭和2年5月に設立)時代と現代を比べれば、情報発信の拡散方法や手段、その速度には歴然の差がある。
その点を加味すれば、”命ある生き物”を贈呈する、という発想以外の選択肢も検討の余地があるはずだ。
にもかかわらず、同保存会は、”命ある生き物”である秋田犬を贈呈する、という選択を繰り返している。

同保存会が掲げる目的遂行や、国家の政治的な思惑に利用されて贈呈される秋田犬は、自分の意志は無視され、ある日突然、母犬や兄弟犬と引き離される。

私には、それが幸せの光景には見えない。
どうしても、見えないのだ――

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉