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運命の出会い 15

なにか……。
なにか、ないだろうか……。
先程からずっと手を握り合っているカップル様に、レアちゃんの未来を照らす希望の光になり得る言葉を、私は必死で探していました。
同時、過去にペット様の介護パートナーとして培った幾多の経験を思い返しながら、私の視線はレアちゃんに向かいました。

少しの静寂が流れた後、カップル様がやさしく声を掛けました。

「……レアちゃん」

呼び掛けられたレアちゃんが、カップル様を見上げます。
たまらず、カップル様はレアちゃんを抱き上げました。

「一緒に頑張ろうね」

すると、レアちゃんが応えたのです。

「ミャー、ミャー」

カップル様は、レアちゃんと心が通じたことに、一片の不可思議さを抱く様子はありませんでした。
その光景を当然のように受容しながら、ただただ穏やかに眺めていたF先生と奥様が微笑みました。
私も同じ気持ちでいました。

「動物と心が通じるなんて、そんな非科学的なことがあるわけないじゃないか。人間の言葉が動物に理解出来るはずがない。鳴いたのは、ただの偶然だ」

そう否定なさる方が、少なからずいらっしゃるでしょう。
そのような意見に対して、私はむやみに論争を吹っ掛けるつもりは毛頭ありません。

だからといって。
私自身は、非科学的な世界の中だけで、妄想を頼りに生きている人間でもありません。

お腹も減るし、眠くもなります。
誰かを好きになるし、誰かを嫌いにもなります。
喜んだり悲しんだり、腹を立てたり楽しんだりします。
上手く出来たり失敗したりしながら、日々働いて生きています。

私も皆様と同じ、この世の現実で暮らす一人です。
超常現象に類する特別な能力に恵まれているわけでもないので、人知を超えた奇跡を起こせるはずもない、ただの人間に過ぎません。

それでも。
夢や妄想ではなく、時に、経験や知識だけでは説明がつかない場面と遭遇することがあります。

ただ。
万人を納得させるような論法や手段を有するわけではない以上、それを殊更に主張したり、無理矢理に押し付けようと思ったことは一度もありません。

単純に、目の前で起こった出来事が偽物かどうか??
本当だと確信出来る場合に限って、私は私を信じれると判断するのです。

自分の目で見たこと。
自分の身体で触れたこと。
自分が心に感じたこと。

それら、心身で体験したことの全部を、一つ残らずちゃんと受け入れる柔軟さはまだ、幸いにして私から失われていません。
ちゃんと意味を考えて、ちゃんと咀嚼して、体験を経験にして、現実の今を生きています。

その観点から見て、カップル様とレアちゃんの心が通じたことは、私には本当だと信じれたのです。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉