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運命の出会い 3

「このオモチャは本当に大人気商品で〜、入荷しても入荷しても、即日完売しちゃうんですよ〜。うちのお店でも入荷待ちが続いてて〜。だけど〜、お二人はラッキーですよ〜。今さっき、久しぶりに納品されたんで〜、こうやって実物をお見せ出来ますから〜」

そのオモチャは他店でも見かける商品だったので、私には見え透いたセールストークでしたが、カップル様にはそうは聞こえないようでした。

「あの……少しでいいんで、そのオモチャで遊んでいる姿を見せてもらえたりしますか?」

その申し出に、店員は一呼吸おいてから答えました。

「……オッケーです〜。他のお客さんには内緒ですよ〜」
「ありがとうございます!」

店員はオモチャの封を破り、子猫様の目の前で振り始めました。

「ほおら、ほおら〜」

カップル様の膝の上に座っていた子猫様は小さな手を伸ばし、オモチャに向かって戯れつきました。

「ヤバイ! かわいい! かわいい!」

カップル様は、子猫様の様子に歓喜の笑顔を浮かべました。

それはそれで微笑ましい光景ではあったのですが……。
子猫様の抱き方が覚束ないので、落下させてしまわないかと、私はとにかくヒヤヒヤしっぱなしでした。
その心配が考慮されるはずもなく、店員はセールストークを重ねました。

「本当にかわいい子ですよね〜。実際の話〜、この子をご購入検討なさってるお客様は多いので〜、直ぐに決まってしまうと思うんですよ〜」
「ですよね……」

言いながら、カップル様はお互いに目を合わせました。
(どうする? どうする?)
カップル様のアイコンタクトにそんな会話を確信したのでしょう。
店員は続けました。

「この子、このオモチャが大好きなんで〜、お二人がもしこの子と暮らすなら、お家にもあった方が喜びますよ〜、絶対に〜」

ここまでくると、カップル様のご意志はほぼ決まったようで、その決断を店員に伝えました。

「この子とオモチャ、両方ください!」
「本当ですか〜! ありがとうございます〜! 運命の出会いが結ばれて、アタシも嬉しいです〜。では〜、早速ご購入手続きをして頂きたいので〜、一旦、この子をお預かりしますね〜」

抱き上げた子猫様を販売用ケージに戻した店員は、カップル様をカウンターに誘導し、手続きの説明を始めました。

私は販売用ケージに目をやりました。
すると、子猫様はくにゃりと伏せました。

……あれ?
少しはしゃぎすぎたのかな……。

私の足は、自然と販売用ケージに向かいました。
子猫様は私の存在に気づき、こちらを見上げました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉