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運命の出会い 4

よく見ると、子猫様の呼吸数が多いことが確認出来ました。
加えて、どこか目に力が感じられません。

もしかして……なにかの先天性疾患を患っているのでは!?

R様とR様の猫様の件が頭をよぎり、私の胸は否応なくざわつきました。
ですが、私は獣医師資格を有していません。
販売用ケージに掲げられた、獣医師による健康診断証明済みという記載に対して、私はあまりに無力なのです。
故に、子猫様の健康を疑う気持ちがあったとしても、説得力に欠けることは否めません。

ふがいなさに立ち尽くす私に、店員が言い放ちました。

「お客様〜、残念ですが、その子は売約済みなんですよ〜」

複雑な心境で振り返った私の目つきが、よっぽど険しかったのでしょう。
刹那視線が交わっただけで、店員はカップル様への説明に戻りました。

前後して私をチラリと見たカップル様は、そのままお互いに目を合わせました。
(良かったね! 先に購入を決めて!)
カップル様のアイコンタクトにそんな意味を見た私は、ゆっくりと瞬きをして販売用ケージに向き直りました。
子猫様の様子は、相変わらずのままでした。

どこかが痛かったり、熱がなければいいけれど……。

私の思い過ごしに越したことはないのですが、だからといって心配な気持ちも捨てきれず、私はあれやこれやと考えました。

実際は遊び疲れているだけで、この子猫様は健康そのものなのかもしれない……。
だとすると、私がなにかを助言したら、カップル様に余計な心配事を吹き込んでしまうだけではないだろうか……。
けれど……。
子猫様がなにかしらの健康異常を抱えているのならば、獣医師による適切な診察・診断・治療が必要であるし……。

さんざん考えを巡らせた後、私は一先ず、ペットショップから立ち去りました。
そして、ペットショップから一番近い場所に設置されているエスカレーターの前で、私は立ち止まりました。
お節介と分かりつつも、私は子猫様をご購入なさったカップル様がペットショップを出るのを待って、声をかけようと思ったのです。

これから先、子猫様を襲うかもしれない万が一を想定すれば、これ以上、店員のいい加減なトークに任せる気には到底なれない??
私のお節介が、子猫様を襲うかもしれない万が一を防げるきっかけになるのであれば、迷惑がられても致し方ない??

そう、私は心に決めたのです。

間もなくして??
私が待機していたエスカレーター付近に、子猫様をご購入なさったカップル様が現れました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉