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運命の出会い 5

ご機嫌なカップル様が私の存在を捉えたのを確認してから、私は深々と頭を下げました。

「御急ぎのところ申し訳ありません。私こういう者でして……」

身分を明かさないのも怪しまれる気がしたので、私は持ち合わせの名刺を差し出しました。
続いて、突然のお声かけの失礼を詫びた私に、カップル様はポカンとした表情を浮かべました。

「あ……さっき、ペットショップにいた人ですよね? なんですか?」

カップル様のお一人がそう言って、私に向かって首を傾げました。

「さしでがましいとは重々承知しているのですが、私も猫兄弟と暮らしている身でして……」

下手に包み隠さず、私は自分が有している知識やアドバイスを伝えました。
ペットショップの店員が言う通りに飼育なさることで、ご購入なさった子猫様に降りかかるかもしれない万が一の危険性を知ったカップル様は、初めこそ訝しむ表情を見せたものの、私の言葉を最後まで聞いてくれました。
とりわけ、R様とR様の猫様について話が及ぶと、真剣味に深刻さがプラスされたようで、お二人は目に涙さえ浮かべられました。

「この子がもし先天性疾患を患っていたら……」

ご購入なさった子猫様を見ながらカップル様のお一人がそう呟くと、別のお一人が鼻をすすって、私に尋ねてきました。

「……どうしたらいいでしょう?」

私は思わず瞬きを繰り返し、瞬間、言葉に詰まってしまいました。

この子猫様が先天性疾患を患っていると診断されたら、カップル様は、ペットショップへの返却・返金を望まれるおつもりなのだろうか……。

先天性疾患を患っていると分かって返却されたら、この子猫様は売り物にはならないでしょう。
そうすると子猫様は、ペットショップ側によって、決して明るくはない未来に手放されることになります。

先天性疾患の有無に関わらず、ペットショップの販売用ケージで見世物にされているペット様は、買い手が現れないまま成長すれば、売れ残りとしての行く末を辿ります。
運が良ければ、ペットショップの店員やその知り合いに引き取られる可能性もあるでしょう。
また、業界の闇まで知っておきながらペット様の命を売買することでお金儲けをしているとはいえ、若干の良心が残っているペットショップであれば、里親を探してもらえる例もあるそうです。

しかしながら。
時々ニュースになるように、心無いペットショップとなりますと、引き取り屋などの悪質業者に引き取らせて処分するケースがあります。
悪徳ブリーダーに引き取られたペット様には、劣悪な環境下で、使い物にならなくなるまで機械の如く繁殖を繰り返させられる運命が待っています。
また、店名を隠し、個人として保健所に持ち込み、殺処分を依頼する輩も未だにゼロではないといいます。
他にも、山中や公園などに遺棄されてしまうペット様も少なくない現実があります。

そういった残酷な未来が、この子猫様を手ぐすね引いて待っているのだとしたら……。
私は、胸をえぐられるような痛みを覚えました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉