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運命の出会い 6

私は思い切って、カップル様に本心を尋ねました。

「もしもこの子猫様が先天性疾患を患っている可能性があるとしたら……介護なりのお世話を、最後まで続ける覚悟がおありですか?」

カップル様はお互いの不安を分け合うように見つめ合うだけで、考えが言葉にならないようでした。
ただでさえ初めて猫様を飼うので、無理もないと思います。

けれど、不幸にも子猫様が先天性疾患と診断されれば、遠くない未来に訪れるであろう介護の日々は避けて通れない問題です。
介護度合いによっては、飼い主様自身の生活スタイルの変化も視野に入れておかねばなりません。
子猫様を迎え入れる初日に酷とは思いつつも、そこまでの覚悟があるのか、私はどうしても確認したかったのです。

誰かに購入されるまでペットショップの販売用ケージ内で過ごすペット様には、少なからずのストレスがかかります。
加えて、親や兄妹たちと早くに引き離されてしまうそのようなペット様には、噛み癖や吠え癖などの問題行動を抱えてしまう個体が存在します。
そうなると、愛情が薄れたりお世話を放棄する飼い主様が出てきて、ペット様が不幸な目に遭うという結末になってしまいかねません。

そういった問題を見て見ぬふりし続けるペットショップでの生体販売ビジネスは、誠に由々しき問題です。
ペットショップに来店したお客様の購買意欲を促す為の最も効果的な手法として、店員は、ペット様の抱っこ体験をそそのかしてきます。
口車に乗せられてその手に小さな命を抱けば、ペット様を欲しくなる気持ちに拍車がかかるのは容易に想像がつきます。

ですが。
ペット様への愛が本物であるならばこそ、一時の欲に惑わされず、安易にご購入なさる前に、今一度、よく考えてみるべきなのです。
ペットショップでご購入するペット様には、先天性疾患を含む様々なリスクがある可能性を受け入れ、尚且つ、なにがあっても終生に渡るお世話の覚悟を持てるかどうかを……。

私はそんな想いを強く込めて、カップル様に言いました。

「今この瞬間は、この子猫様の飼い主様は、紛れもなくあなた方お二人です。子猫様の健康に異常があるかもしれないという可能性のお話は、あくまで私見に過ぎません。ですが、健康だと言うペットショップ側の言葉を鵜呑みにせず、ご自身たちの方でも、今一度、できるだけ速やかにしっかりとした獣医師さんに診察してもらうべきです。それで問題なしと分かれば、私見は杞憂であっただけのことです。なによりも、子猫様が健康ならばそれに越したことはないのですから、是非とも動物病院に連れて行ってあげてください」

カップル様は、長い息を一つ吐きました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉