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運命の出会い 8

ペットショップでご購入なされたペット様に健康異常が見つかった後、飼い主様と店側の間で訴訟に発展するケースもあるのが珍しくない時代です。
ニュースに目を通せば、そのほとんどの飼い主様が口にするのは、金銭補償が最大の目的ではないと仰っています。
ペットショップ側の事務的な対応や、誠意の無い対応に腹を立てる部分も当然あるでしょう。

ですが、そういった被害に遭われた飼い主様の多くは、怒りの感情よりも優先して、被害に遭ったペット様の身を案じ、これから先に同じような被害に遭うかもしれない飼い主様のことを慮る気持ちを吐露なさるのです。
それはひとえに、ペット様の命の尊さを当たり前のように知っているからでしょう。

生体販売を形式的に行うペットショップ側に高度な職業倫理を問うたとしても、残念ながら、ペット様の命に対する良心的な対応を期待出来ないでしょう。
たとえば。
本当はなにかしらの疾患を抱えているが為に動きが少ないペット様のことを、ペットショップ側は『大人しい性格で飼いやすい』というセールストークに返還し、むしろ積極的に勧めてくることも考えられます。

ペットショップの店員らは、売れ残ったペット様や先天性疾患を患っているペット様が、幸福ではない未来に向かう可能性に平気で目を瞑れるのです。
そういった神経を持ち合わせているので、販売用ペット様の個々に見合った適切な運動量への気配りは、無いに等しいでしょう。
商品としてしかペット様を見ていない為に、呼吸促迫などの異変にも気づけないのです。

それでも、ペットショップ側だって、ペット様の健康を願う気持ちもあるでしょう。
販売後のトラブルを嫌う、その一心で……。

近年ペットショップで販売されているペット様は、見た目の愛くるしさを重視した小型化がより一層進んでいます。
売れる新種を生み出すべく、先天性疾患のリスクが高まるような交配合が平然と行われているのです。

「今、あなた方お二人と私の目に映るこの子猫様も、その内の一匹であります。その運命を背負って生まれてきたこの子猫様を手放して、ご購入検討なさっているほかの誰かに委ねても、あなた方に責任追及出来る権利を持った人間はいません。なぜなら、法律上、きちんとした売買契約で手に入れたこの子猫様は、間違いなくあなた方お二人のものですから」

あえて事務的な言い方で伝える私の言葉を、どう受け止めるのか……。
カップル様の心の機微を感じ取ろうと、私は慎重に観察を続けました。
そして。
子猫様の容態が気がかりだった私は、いつまでも決断を下せずにいるカップル様に、決断を迫るべきと判断しました。
子猫様から預かった先程の問いを、伝言することにしたのです。

「あなた方にとって、この子猫様との出会いは、運命の出会いですか?」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉