新着情報

飼い猫様の窃盗 100

S君と共にじっとしながら、エサやりの女性からの電話を待っている間、私の思考は自然とS君の飼い主様に向かいました。
S君を無事に保護できたことを伝えれば、飼い主様は興奮と感動に包まれ、心身が打ち震えることでしょう。
一刻も早くS君との再会を果たしたい一心で、体調の回復が早まるかもしれません。

迷子ペット様とその飼い主様の再会場面に立ち会えた時、いつも私は思います。
一緒にいるのが当たり前だった日々には、まさかご自分のペット様が迷子になってしまうとは、すべての飼い主様が露ほども考えなかったでしょう。
それ故に、無事発見・保護がかなった際は、これまでの暮らし以上に双方の絆は深まり、固く結ばれるわけです。

しかしながら、です。
少々厳しいことを申し上げれば、ペット様が迷子になってしまい、飼い主様と離れ離れになる状況は、たいていの場合、偶然に起きた出来事ではありません。
飼い主様の油断や思い込み、甘い認識が招いた必然といえます。
このことはなにも、ペット様を迷子にしてしまうことだけに当てはまるわけではありません。

”うちの子は大人しいから、散歩中にノーリードでも平気”
”うちの子は賢いから、一人でお留守番していても大丈夫”
”うちの子は散歩に行かなくても、ストレスにならない”
”うちの子は良い子だから、拾い食いや誤飲なんてしない”
”うちの子は……”
”うちの子は……”
”うちの子は……”

ペット様に降りかかる事故やトラブルは、上記のように信じて疑わない飼い主様が引き起こしているといっても過言ではありません。
”うちの子”の安全を第一に考えて判断し、行動をすれば、事故やトラブルを未然に防ぐことは、さほど難しいことではないはずです。

にもかかわらず、飼い主様の油断や思い込み、甘い認識によってそれを実行しない場合、当たり前に続いていくと思っていた平穏な日常は、当たり前に続かなくなります。
これは、今現在、ペット様とお暮しになっている飼い主様すべてに向けた注意喚起です。

”うちの子”は、予想だにしない事態が起きた際、本当に微塵も驚かず、微塵も怖がらず、微塵も興奮せず、平常心を保っていられるのでしょうか?
”うちの子”は、長時間に渡る一人での留守番を、本当に望んでいるのでしょうか?
室内で繋がれっぱなし、またはケージに入れられっぱなしで、”うちの子”は、本当に幸せを感じているのでしょうか?

例えば散歩嫌いになってしまったり、例えば噛み癖がついてしまったなどの原因は、”うちの子”の性格や癖のせいではなく、自問自答すれば飼い主様側に思い当たる節があるのではないでしょうか?
”うちの子”が抱えているそのストレスは、変わってしまった飼い主様の態度・習慣・行いが原因とは考えられませんか?
”うちの子”と暮らし始めたばかりのあの頃、飼い主様はどんなお世話にも愛おしさを感じていらっしゃいましたよね?

”うちの子”を迎え入れることを決めたあの日、飼い主様はどんな想いでしたっけ――

どうか、その想いを忘れないでください。
迷子ペット様と飼い主様の再会場面に立ち会えた時、いつも私は、そんなことを思うのです。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉