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飼い猫様の窃盗 121

「Bは、家からすぐ近くに居たのですね! ありがとうございます! とにかくよかった! Bが無事に生きていて!」

飼い主様のよろこびは最高潮に到達したかと思うと、今度は不安や心配で張りつめていた心が一気に解放されたのでしょう。
安堵感から涙がとめどなく溢れ出したようで、嗚咽により言葉に詰まってしまわれました。

その様子に、若干の憂慮を私は覚えました。
というのも、飼い主様の感情の起伏が激しすぎるからです。

最愛のペット様の行方が知れない間、絶望感に苛まれる飼い主様の気持ちは確かに理解できますし、当然の感情です。
そして懸命な捜索の結果、最愛のペット様との再会がかなえば、感極まるのもまた至極当然です。

しかしながら、B君についていうと、飼い主様との再会をまだ果たしたわけではないのです。
現状、B君に似た白黒ブチ柄の猫様を、私が遠目から見かけたに過ぎません。
飼い主様にとっては酷かもしれませんが、要するに、よろこぶのが早過ぎると私は感じたわけです。

それに付言すれば、です。
こういった性格の飼い主様の場合、ややもすると早とちりしやすい傾向にあります。
ことあるごとに感情が先行してしまい、その度にいちいちの冷静さを欠き、物事の本質を見失ってしまうことが多いともいえます。

このことは、迷子ペット様の捜索において、マイナス面に働いてしまいます。
たとえば、捜している猫様が、Aという地点で誰かに目撃されたとします。
その目撃情報に飼い主様がよろこび過ぎてしまえば、何の疑いもなく鵜呑みにしてしまうでしょう。

ですが、それは危険をはらみます。
誰かに目撃された猫様が、本当にご自分が捜されているペット様であるとの確定ができない以上、下手をすると、似ているべつの猫様を捜し続ける羽目になりかねません。

また、A地点と同時期に、Bという地点やCという地点で目撃情報が上がってきたとします。
そのように複数の場所で目撃情報が上がってくるケースは特別ではなく、往々にして起こることなのですが、そうなった場合、ほとんどすべての飼い主様は混乱し始めます。
結局、ご自分の目で確認しないことには、どの地点で目撃された猫様がご自分が捜している猫様なのか、判断できなくなるからです。

その迷える状況を解決する方法は、ただ一つしかありません。
目撃情報が上がってきたすべての猫様の姿を、飼い主様ご自身が確認することです。

けれども、それは決して簡単なことではありません。
何日にも及ぶ時間を費やしたのに、似たべつの猫様を捜していた、という残念な結果になってしまうことも充分に有り得えます。
それが続けば、じきに飼い主様の心身は疲労困憊に陥って捜索の継続が難しくなり、やがては未発見になってしまう危険が高まります。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉