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飼い猫様の窃盗 124

「お気遣い、ありがとうございます。Bを保護できるまで、極力無理をせずに頑張ります!」

飼い主様の決意を最後に、通話を終えました。

……一応、これは持っておくとするか。

再び目撃した場合に備えて、手にしていたB君の迷子チラシをズボンのポケットにしまい、私は歩き出しました。
そして、S君の飼い主様宅に到着できる最後の角を曲がりました。

その道沿いには、S君の飼い主様に貸した私の車が停車してありました。
路上に、人の姿はありません。
どうやら、私を捜し回っている男たちと遭遇せず、無事に飼い主様宅へと到着できたようです。

私は、ほっと一息吐いてから、S君の飼い主様宅のインターフォンを鳴らしました。
返事は直ぐに返ってきて、

「今、開けます」

という言葉の後、S君の飼い主様は玄関ドアを開き、私を迎え入れてくれました。

再び外へと飛び出すことがないように気をつけながら玄関に入り、ドアを閉め、私は尋ねました。

「S君は、どうですか?」
「寝室にいます。Sはベッドの上で昼寝するのが好きなんですよ。家に着くなり、早速、そうしています」

S君の飼い主様が示した寝室のドアは閉まっており、中を確認することはできませんが、私は一安心しました。
逸走後に再帰宅ができた日は、猫様の好きなように過ごさせて、余計な接触をしないであげるのが一番だからです。

とはいえ、見たところ直ちに動物病院に搬送しなければならないような怪我がなくても、やはり、猫様が落ち着き次第、動物病院に連れて行って診察してもらうべきなのは、いうまでもありません。
外にいた期間に、なにを口にしたか分かりませんし、ノミ・ダニの心配もあります。
外見では判別がつかない、感染症の疑いも無視できません。
また、保護後は元気に過ごしていたけれども、数日経って急にぐったりとした猫様の話を、とある飼い主様から聞いたこともあります。

「とにかく、自己判断は危険です」

上記の注意について私が念を押すと、S君の飼い主様は頷きました。

「そうですよね。ちゃんと、動物病院には連れて行きます」
「そうしてあげてください」
「けど……」

伏し目になったS君の飼い主様の様子が気になり、私は聞きました。

「どうなさいました?」
「Sを動物病院に連れて行くのは、もう少し後になってしまいます。今回は、主治医の方から特別に一時的な外出許可を得ているに過ぎませんので、今日中には、病院に戻らなくてはなりません……。正式に退院して、動物病院に連れて行ける前に、Sが急に体調を崩してしまったらと思うと不安で……」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉