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飼い猫様の窃盗 130

前回ブログ『飼い猫様の窃盗 129』で書いた心配材料に付け加えて、極めつけは、猫様たちを乱獲している男たちの存在です。
これから先、男たちにB君が捕まってしまわないだろうか、私としても気が気ではありません。
それに、女性であるB君の飼い主様が、いつ何時、男たちから危険な目に遭わされるか分かったものじゃありません。
そうなってしまっては、必然、B君捜索の継続は難しくなってしまうでしょう。

そんなことを考えながら赤信号で停車した時、S君の飼い主様に尋ねられました。

「……どうかなさいましたか?」
「……え? なにがです?」
「いや……すごく深刻な面持ちでしたので……」
「あ、すみません。ちょっと考え事をしていまして」
「Sのことですか?」
「いえ。違います。実はですね……」

ズボンのポケットにしまってあったチラシを私は取り出し、S君の飼い主様に渡しました。
チラシに目を落としたS君の飼い主様は、途端に眉間にしわを寄せて、ぽつりと漏らしました。

「迷子猫、ですか……」
「はい。先ほどお宅に向かう途中、道路に落ちていたのを見つけまして」
「本当ですね。確かに、家の近くの住所が記載されています」

B君の飼い主様の心境を慮りながら、S君逸走時の我が身を重ねたのでしょう。
S君の飼い主様は、辛そうな顔で黙ってしまいました。

そのタイミングで信号が青に変わり、私はアクセルを踏みました。
そのまましばらくの沈黙を挟んだ後、S君の飼い主様は、

「B君、男たちに捕まらないように頑張っているかな……」

と独り言のようにいったので、私はいいました。

「おそらくですが、それについては、まだ大丈夫だと思います」
「……なぜですか?」
「なにせ、私自身が、B君らしき子を目撃したからです」
「え!? もしかして、Sの捜索中にですか!?」
「いや。そのチラシを拾う直前に、です」
「そんなに直近で!?」
「はい。B君の飼い主様には、すでに連絡済みです」
「よかった! 飼い主さん、さぞかし、よろこんだことでしょうね」
「そうですね。ただ……」

飼い猫様の窃盗 120』の文末から『飼い猫様の窃盗 123』に書き記したものと、前回ブログ『飼い猫様の窃盗 129』と今回のブログ冒頭に綴った懸念をを、私は話しました。

「迷子になってしまった猫を無事に発見・保護するのって、本当に難しいことですよね……」

S君の飼い主様のその言葉には、実体験という重みが加わっている分、車内の雰囲気は深刻さに包まれました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉