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飼い猫様の窃盗 132

「どうも、はじめまして。メビー・ラック代表の岡村です」

病院の入り口に先に到着していた岡村が挨拶をすると、S君の飼い主様は丁寧にお辞儀をなさいました。

「はじめまして。Sのペットシッターの件でお世話になります」
「こちらこそ、よろしくお願い致します。この度はS君の無事発見・保護、おめでとうございます」
「ありがとうございます。すべては、懸命な捜索を行って頂いたおかげです」
「少しでもお役に立てたのなら光栄ですが、無事発見・保護に至ったのは、やはり飼い主様の頑張りがあってこそですよ」
「けれども、自分一人ではどうなっていたことか……」

放っておいたら、二人の立ち話がいつまでも続きそうなので、私は促しました。

「とりあえずは病室に戻ってから、話の続きをしましょうか。病院の方々が心配しているでしょうし」
「あ……ついうっかり。そうですね。行きましょう」

照れくさそうに笑ったS君の飼い主様の後に続いて、岡村と私は病室に向かいました。
その途中、S君の飼い主様はナースステーションに立ち寄り、無事に戻ったことを告げました。
すると、その場に居合わせた看護師さんの一人が、S君の飼い主様に微笑みかけました。

「おかえりなさい。S君、どうでした?」
「見た感じは、普段通り、マイペースなSでした。どこかをケガしている様子もありません」
「それはよかったですね」
「はい。けれど、一応、動物病院で診察をしてもらうつもりでいます」

そのタイミングで私と目が合った看護師さんは、S君の飼い主様に尋ねました。

「もしかして……この方が、S君を?」
「そうです。あちらは、この方の上司の方で……」

そこから先の言葉を継いだ岡村が、

「メビー・ラック代表の岡村です」

と深く頭を下げて、自己紹介をしました。
看護師さんも頭を下げて挨拶すると、岡村と私に向かって、賛辞の言葉を並べました。

「それにしても、すごいですね。迷子になった猫を見つけることができるなんて」

岡村が笑顔で応じました。
S君の飼い主様もそれに交じり、皆でしばしの歓談が続きました。
その後、程よい頃合いを見計らって、看護師さんがいいました。

「とにかく、無事に戻って頂いたのでよかったです。とはいえ、後で先生が一応の診察を行いますので、病室で院内着に着替えてお待ちください」

私たち三人はその言葉に従いました。
S君の飼い主様が着替える間、岡村と私は病室の外で待ちました。
ほどなくすると、着替え終わったS君の飼い主様がベットを囲うカーテンを開き、私たちを病室内に招き入れました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉