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飼い猫様の窃盗 133

病室に入るや否や、岡村は『ペットシッター』サービスについての説明を始めました。
主治医の到着を待つ間に話を終わらせれば、S君の飼い主様はそれだけゆっくりと休息をとれる、という気遣いからでしょう。
テキパキと無駄のない流れで、お世話内容や契約内容の説明を終えた岡村は、S君の飼い主様に確認しました。

「では、明日から一日一回訪問して、フードと飲み水の交換・トイレ掃除・S君との遊びを承らせて頂きますね」
「はい。よろしくお願い致します」
「お世話内容の様子は、その都度、写真と動画で送らせて頂きますので」
「たのしみに待っています」
「それと、動物病院への診察のタイミングですが、S君の排泄物と飲食料のチェックなどをしつつ、体調が良さそうな日にお連れ致します」
「かかりつけの動物病院の診察券は、リビングの机の上に用意しておきましたので、それをお持ちください」
「承知致しました。では、ほかに質問や確認などがございませんでしたら、この書類にサインをお願い致します」

ペットシッター』サービスの契約書及び鍵の預かり証に記名したS君の飼い主様に、私はいいました。

「S君についてのヒアリング内容や今日の様子、フードや水置き場などについては、先ほど撮影させて頂いたものを見せながら、後ほど、私から岡村に申し送りしておきますので」
「分かりました」

にっこりと頷いたS君の飼い主様でしたが、やはり、久しぶりの外出で疲れたのでしょう。
その表情には、若干の疲れが滲み出ていました。

案じた私は合鍵を受け取り、話を切り上げることにしました。

「今日は、諸々とお疲れさまでした。S君のことはご心配なさらず、しっかりと療養なさって、一日でも早い退院を目指されてくださいね」
「そうさせて頂きます」
「では、岡村と私は、そろそろお暇させて頂きます」
「今日も、本当にありがとうございました。お気をつけてお帰り下さい」

岡村と私は深く頭を下げ、病室を後にしました。

S君の飼い主様の疲れた表情については、初対面だった岡村も気づいていたようでした。
ですが、私たちが抱いた心配は、これ以上大きなものにならずに済みました。
病院からメビー・ラックの店舗に戻る途中、主治医の診察を終えたS君の飼い主様から、メールにて報告があったからです。

その文面によりますと、”疲労については、一晩ゆっくりと休めば問題ない”とのことでした。
加えて、退院の目途についても書かれており、”順調に体力が戻れば、遅くとも10日後には退院できる”そうです。
岡村も私も、一先ずは安堵の胸をなでおろしました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉