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飼い猫様の窃盗 134

メビー・ラックの店内には、この日、滞在中の犬様たちが五匹いました。
岡村と私の不在中に彼らのお世話を任せていたスタッフからの報告によると、取り留めた問題なく、全員平穏な時を過ごしていたそうです。

「S君の飼い主様も無事に病院に戻れたことだし、お預りの子たちについても異常なしだから、とりあえずは万事オッケーね」

いいながら一息ついた岡村でしたが、私の顔を見て、首を傾げました。

「……どうしたの? さすがに、疲れた様子だね」
「いや……まあ、疲れてはいないといったらウソになるけど……」
「なに?」

岡村にはまだ話していない、B君とB君の飼い主様のことを、私は伝えました。

「へえ、そんなことがあったんだ。けど、その後、B君の飼い主様から連絡はないんでしょう?」
「……ない」
「じゃあ、B君を無事に保護できたのかもしれないね。ほら、そういうケースだと、わざわざ連絡してくれる飼い主様って少ないじゃない? そもそも、正式なご依頼を承ったわけじゃないんだし……」

岡村がいっていることは、確かに間違っていません。
迷子ペット様捜索の無料相談電話及び無料アドバイス”だけ”を承ったケースでは、後に迷子ペット様の無事保護に至ったとしても、その報告を頂ける飼い主様は多くはないのがその実です。

とはいっても、報告を頂けないことについて、こちらとしては文句の一つがあるわけではありません。
無料相談電話及び無料アドバイス後に、迷子ペット様を無事に保護できたのか、はたまた未だに行方不明中なのか、もうすでに捜索すら行っていないのか……ただただ案じ続けているだけなのです。

かといって、依頼を迫る営業電話だと勘違いされては不本意なので、こちらからの連絡は控えることにしています。
また、無料相談電話及び無料アドバイスの際、ご自分の個人情報を隠したままになさる飼い主様もいらっしゃる故、お名前・ご連絡先・ご住所を、こちらは把握できないケースも存在します。
よって、飼い主様側から報告を頂けない限りは、永遠にモヤモヤが続くのが常でした。

岡村はそれを重々承知している上、自分自身も迷子になっているB君が心配でモヤモヤしているはずですが、努めて明るく私にいいました。

「とにかく、B君の飼い主様から連絡がない以上、どうすることもできないじゃない? まあ、呑気に待てるような性格じゃないってことは、よく知ってるけどね」
「性格のことはさておき、モヤモヤの最大の問題はべつにあってさ……」
「……べつ? どういうこと?」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉