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飼い猫様の窃盗 135

「S君捜索時初期に、怪しげな男たちがいたのを話したじゃん?」

岡村は覚えていたらしく、間髪入れずにいいました。

「公園に、たくさんの捕獲器を設置していた奴らのことでしょう?」
「そう」
「その男たちが、どうしたの?」

実のところ、男たちとの公園でのやりとり以降のことについて、岡村にはまだ話してはいませんでした。
男たちからなにかしらの被害を私が被った場合、心配をするだろうと思っていましたし、メビー・ラックそのものにまで迷惑が及ぶのを避けたかったからでした。
それらを話すついでに、おそらくは今現在も、男たちが執拗に私を捜し回っていることを打ち明けました。

すると岡村は、険のある表情になりました。

「S君の目撃者を装って誘い出そうとしたり、電車に乗った時にまで尾行してくるなんて、徒ならぬ執拗さね……」
「B君を目撃した地点は、S君の捜索範囲内だから、その付近に男たちがまだうろつく可能性は否定できない」
「そういうことか……」
「まあ、自分が見つかってしまうかもしれないことはさておき、男たちにB君が捕まってしまわなきゃいいけど……」
「B君の飼い主様が、男たちに遭遇してしまう危険も心配だね……」
「うん……」
「でも……私たちに、なにができるんだろう?」
「……うーん……」
「いっそのこと、依頼を迫る営業電話だと勘違いされたとしても、B君を保護できたのかどうか、こっちから電話して確認してみれば? こうしてモヤモヤしていても、埒が明かないし」

岡村にいわれて、私自身も、その通りだと思いました。
このまま、ただひたすらモヤモヤしながら待っていて、この先、B君やB君の飼い主様に”もしものこと”があったら、それこそ悔やみきれないことでしょう。
その前に私にできることをやっておくことで、”もしものこと”が起こってしまうのを防げるのなら、それに越したことはありません。

「分かった。B君の飼い主様に電話してみる」

ズボンのポケットからB君の迷子チラシを取り出した私は、記載されているB君の飼い主様の電話番号と、自分のスマフォの発信履歴を照らし合わせました。
チラシはそのまま岡村に手渡し、いざ、B君の飼い主様に電話をかけました。

1コール目……2コール目……3コール目と、呼び出し音が聞こえます。
4ール目……5コール目……6コール目の呼び出し音が鳴っても、B君の飼い主様は、まだ電話に出ません。
7コール目……8コール目……9コール目……10コール目の呼び出し音の後、電話はとうとう留守番電話サービスに繋がってしまいました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉