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飼い猫様の窃盗 14

現時点では、バンの中に積み込まれた捕獲器の中に、捜索対象の迷子猫様が絶対に入っいるとはいい切れません。
ですが、もしいなかったとしても、私の行動いかんでは、男たちに捕らわれてしまった猫様たちを解放してあげることに繋がります。

それからしばらく、私は静かに深く息を吐き、事態の推移を注視しました。

真夜中の公園内は、時々吹く風に葉が揺れる音や虫の類が落ち葉を這う音以外、概ね静かなものでした。
この状況なら、私さえ微動だせずにいれば、足音なり気配なりで、やせ細った男の動向を容易に掴めるでしょう。

であるからして。
意識を身体の深くに沈ませ、耳を研ぎ澄まし、視野を広く保つことだけに私は集中し続けました。

そのように待機しながら少し経つと、左前方の位置から、カシャンという金属音が聞こえました。
私が今潜んでいる場所と同じく、音がしたその辺りも草木が生い茂っているので、遠目からは目視できません。
だとしても、です。
経験上、この金属音は、捕獲器のフラップが閉まった音に違いないという確信を持ちました。

先ほどのキジトラ猫様が捕獲器の中に入ってしまったのかもしれませんし、ほかの猫様かもしれません。
もしくは、ハクビシンやネズミなどの野生動物様が捕獲器の中に入った可能性も否定できない現況です。

また、捕獲器の中に何も入っていないことだって考えられます。
なにがしかの動物様かは分かりませんが、捕獲器の中に仕掛けられたエサが気になってはいるものの、中に入らず、捕獲器の上などに乗ってしまえば、はずみでフラップが閉まってしまう場合もあるからです。

いずれにしても、近づかなければ確認のしようがないので、直ちに動くべきか、今は動かざるべきか、私は迷いました。

この近くにやせ細った男もいるのだとしたら、捕獲器のフラップが閉まった先ほどの金属音が聞こえているはずです。
ならば、捕獲器の状態がどうなっているのか確認に向かうのは当然なのですが……。
今のところ姿を現す気配はおろか、足音すら聞こえませんし、大柄な男の様子にも特段の変化が見られません。

この状況を踏まえると、捕獲器の中に何らかの動物様が入ったことに、男たちはまだ気づいていない可能性があります。

ならば確認に動くかと思いましたが、私は逸る気持ちを切り捨て、一度、深呼吸をしました。
男たちが捕獲器に動体カメラなどを仕掛けていれば、遠隔での確認も可能なので、私が周囲の状況に頓着しないで捕獲器に近づけば、あっさりとバレてしまうからです。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉