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飼い猫様の窃盗 16

捕獲器はどこにあるのだろう……。

極力、無駄な動きを抑えながら周辺に目を配りました。
くまなく探していると、木々の間に隠すように設置してある捕獲器の角の部分が視界に入りました。

私は早急に捕獲器の中を確認したい気持ちを、一先ず封じ込めました。
念のため、もう一度、周囲の様子を伺いたかったからです。

幸いにも、やせ細った男の気配はありません。
ついでに、動体カメラの有無の確認もしました。
こちらについても、心配はなさそうでした。

……よおし、これなら大丈夫だろう。
捕獲器へと徐々に距離を縮めていくにつれ、中に入っているかもしれない動物様を怯えさせないように細心の注意を払う私の鼓動は、確実にスピードが上がっています。

落ち着け……。
落ち着け……。
落ち着け……。

呪文のように唱えながら進み、私は捕獲器の全体が見える位置までやって来ると、中に何かがいるのを目視できました。

……あっ!

心の中でそう発した私の目に映ったのは、捕獲器の中でうずくまる一匹の猫様でした。
間違いなく、先ほどのキジトラ猫様です。
かわいそうに、恐怖で動けないようでした。

「大丈夫だよ、今、出してあげるからね!」

小声でそう語り掛け、男たちが猫様を捕獲している証拠写真を撮ってから、私は捕獲器のフラップを開けました。
それでもキジトラ猫様は動かず、私をじっと見上げています。

「ほら、もう出れるよ。行きな」

そう伝えても、身じろぎ一つしないキジトラ猫様を憐れに思って、私はフラップが閉まらないようにしてから、一旦、捕獲器の傍を離れることにしました。
そうして距離を保った位置から、今一度、キジトラ猫様に話しかけます。

「もう二度と、捕獲器には近づいちゃダメだよ。ほかの猫様にも伝えてあげて」

ですが依然として、キジトラ猫様はこちらを見続けています。
ひょっとしたら、私が発した言葉というよりは、私の目の奥から意味を感じ取ろうとしているのかもしれない、と考えました。

だからといって。
いつまでも目を合わせていると、キジトラ猫様のストレスになってしまうかもしれないので、私から目を背け、反対向きになって座り込んであげました。
しばらくそうした後に振り返ると、キジトラ猫様の姿はそこにありませんでした。

胸をなでおろしたのも束の間、私は捕獲器のチェックに向かいました。
仕掛けられた捕獲器は、いわゆる踏み板式と呼ばれるものでした。
あちこちに錆びらしきものが生じているところを見ると、随分と使い込んでいる捕獲器のようです。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉