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飼い猫様の窃盗 18

息まで止めてじっとしていると、黒猫様の視線の先から、誰かが歩いて来ました。
電話をしながらのようで、その声から、やせ細った男だと判断出来ました。
携帯電話を持っていないというのは、やはりウソでした。

とにもかくにも。
黒猫様が送ってくれた”待て!”とのメッセージのおかげで、私の存在がやせ細った男にバレずに済みました。

やせ細った男は、携帯電話を持っていない方の手に、コンビニ袋を提げています。
どうやら、待機中の腹ごしらえのために、食料を調達してきたようでした。
通りで、姿を確認できなかったわけです。

やせ細った男は黒猫様の姿に気づくと、急に小走りを始めました。
捕獲器を設置してある茂みの中へと、黒猫様を追いやる狙いなのでしょう。

黒猫様は身構える動作をした後、やせ細った男から逃げるようにして、さっと茂みの中に飛び込みました。

私は安心しました。
なぜならば、黒猫様が飛び込んだ茂みは私がいる側で、その先にある捕獲器のフラップは、先ほど私自身が閉めてあるからです。
であるからして、万が一にも、黒猫様が捕らわれることはありません。

やせ細った男はそれを知る由もないので、薄気味悪くニヤニヤとしながら、黒猫様が去った方に目をやり、立ち止まっています。
それから、通話相手と少し話してから、バンが停めてある場所に向かって歩き出しました。

これは願ってもないチャンスでした。
男たちはおそらく、これからバンの中で食事をするでしょうから、その間に、目指す捕獲器の確認が安全に出来そうです。

私は耳を済まし、バンのドアが閉まる音を待ちました。
間もなく、バンのドアが閉まる音が聞こえました。
そのタイミングで、私はバンの中から見えない位置まで移動して、歩道をダッシュで渡り、茂みの中に飛び込みました。

そのまま、数分待機していましたが、バンのドアが再び開く音はしません。
男たちにバレていないことを確認出来たので、捕獲器が仕掛けてあるであろう場所まで私は一気に移動しました。

ほどなくして、捕獲器を発見できました。
先ほど見つけた捕獲器同様、踏み板式と呼ばれるもので、所々が錆びついていました。
捕獲器の中には、ハクビシン様が入っていました。

私は周辺に動体カメラが無いことを調べてから、捕獲器の証拠写真を撮影しました。
それからハクビシン様を解放して、捕獲器のフラップを閉めておきました。
このまま長居していると男たちが様子見に現れるかもしれないので、私はその場を離れながら、つぎに起こすべき行動に考えを巡らせました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉