新着情報

飼い猫様の窃盗 21

バンのバックドアを少し開けた瞬間、様々な”におい”がしました。

野良猫様特有の獣臭に交じって、糞尿の”におい”が目立ちますが、ほかにも、捕獲器の中に仕掛けるのであろう、種々のエサの”におい”がしました。
一つは、粗悪な素材が使用してあり、不自然に脂臭いドライフードやウエットフード独特の”におい”です。
べつのエサとして、カニカマ類やカツオスティック類の”におい”もしました。

また、人間用の揚げ物総菜やインスタントラーメンに使用されている化学調味料の”におい”までしましたが、それらはきっと、さっき男たちが食したコンビニ商品のものだと推測できます。
大柄な男が吸っているタバコの甘ったるい臭気も、車内にはこびりついていました。

更にバックドアを開けていくと、バンの中には、上記の”におい”の元のほかに、所狭しと捕獲器が積み重ねられているのが目に入りました。
その中には空のものもありますが、猫様が捕らわれている捕獲器も、確かにいくつかありました。

一匹……。
二匹……。
三匹……。

手前に並べられた捕獲器の中にいるどの猫様も、この近辺での捜索中に見かけた猫様です。

一匹目に確認した猫様は、野良猫様にしてはきれいな被毛を保っている白黒ブチの猫様なので、よく覚えています。

二匹目に確認した猫様は、まるまると太っている黒猫様で、見かける時はいつも、のそのそと歩いていました。

三匹目に確認した猫様も白黒ブチでしたが、一匹目とは柄が多少違い、なによりも尻尾が短いのが特徴です。

バンの奥に並べられた捕獲器の中にいる、四匹目・五匹目・六匹目・七匹目に確認した猫様は、いずれも面識がない子でした。
大柄な男が発した言葉を思い出せば、どこかべつの場所で捕獲されてしまった猫様なのでしょう。
みんな、キジ白猫様たちで、被毛がボサボサなのもそっくりでした。

八匹目の猫様は、バンの一番奥に積み込まれていました。
こちらに鋭い視線を突き刺しながら、尻尾をこれでもかというくらいに膨らませているその姿から察するに、おそらくは、バンの傍で私が身を潜めていた際に、

ドギャンッ!
グオーンッ!
グギャアアアッ!

と暴れ、男たちに向かって唸り鳴きをしていた猫様に違いありません。

この猫様も、捜索中に見かけたことがある猫様です。
いかにもボス猫様といった風格を持っていた長毛種なので、忘れるはずもありません。

確認した八匹のほかに、捕らわれている猫様たちはいませんでした。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉