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飼い猫様の窃盗 26

男たちがバンに乗って去ることを期待しながら、私は動かず、辺りの静けさに溶け込むことにしました。
そうして呼吸が整ってくると、喉の渇きに気づきました。

……あ、そうだ。

男たちから離れ、公園内の捕獲器を確認しに行く際に、駐車場前の自動販売機でお茶を二つ購入したことを、私は思い出しました。
このお茶は、万が一、男たちに見つかった場合のいいわけとして購入しておいたのです。
『目的地に向かったはずが、うろうろと何をしてるのか』と問い詰められたら、『カーナビで地図を確認してもらった御礼に、お茶を買いに行っていた』ことにするつもりでした。

しかし、状況がこうなったからには、そのいいわけをする場面は訪れそうにありません。
なので、お茶を一本、飲んでしまうことにしました。

喉の渇きから解放されると、疲労感がじわじわと沸き起こってきました。
それに飲み込まれて眠ってしまわないように耐えながら、捜索対象の迷子猫様のことに想いを馳せ、状況整理をし直しました。

飼い猫様の窃盗 21』で前述した通り、男たちのバンの中には八匹の猫様がいたものの、私が捜索している迷子猫様はいませんでした。
それはそれで良かったといえますが、あくまでも今日に限った話なので、私の心配は完全にクリアされてはいません。
というのは、今日以前にも、男たちがこの地域へ乱獲に訪れているのだとしたら、すでに捜索対象の猫様は捕らわれてしまっているかもしれないからです。

男たちは一体、乱獲した猫様たちをどこに運び、どうしているのか……。
猫様たちが危害を加えられてやしないかという不安を拭えないのは、男たちと実際に接した印象が大きな要因となっています。
猫様の乱獲に手慣れた感じといい、私への対応の仕方といい、男たちが親切でやさしい人間たちだとは、到底思えない自分がいました。

また、猫様を乱獲するという悪行は、はたして男たち三人だけの仕業なのかも定かではありません。
もう少し大掛かりで組織的な行いだとするならば、私個人で太刀打ちできる相手ではないでしょう。
それならば、証拠写真はすでに撮影済みなので、然るべき機関に連絡を入れ、対処をお任せする方が賢明です。

よって、飼い主様と捜索対象の猫様のために自分が今やるべきこと・今やれることだけに、私は目を向けました。
いわずもがな、私が今やるべきことは、ご依頼を承った迷子猫様の捜索です。
今やれることは、ご依頼を承った迷子猫様捜索に全力を傾け、継続することです。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉