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飼い猫様の窃盗 29

忍び足のような足運びでありながら先を急ぐ格好は、見ようによっては滑稽でしょうが、止むを得ません。
それに、男たちの気配を察知した場合に身を隠せそうな場所を探しては進み、前後左右に注意を払う作業は楽じゃありませんでした。
そんなこんなで、逸る気持ちほど早く動けないもどかしさと闘いながら、私は歩き続けました。

しばらく行った道の先は、Y字の二股道になっていました。
とはいうものの、この周辺の地理を把握している故に知っていたので、そのY字の二股道に辿り着く前に、私は右方向に進むことを決めていました。
これもまた、先ほどスニーカーの靴ひもを結び直したのが右だったので、勘によるものです。

その道を少し進んだ時、不意に背後が気になりました。
私は、それが何なのか振り返って確認する前に、傍に建つ一軒家の脇にそびえる電柱の裏にさっと隠れました。
その後に片目で覗き込んだ拍子に目に入ったのは、ヘッドライトを消したままゆっくりと進む車でした。

男たちのバンです。
男たちのバンはY字の二股道の左方面からやってきたので、私は私の勘を信じて良かったと心底思いました。

男たちは、電柱の裏に隠れている私を見つけられなかったようで、そのまま走り去って行きました。
だからといって、男たちは、しぶとく私を捜していたわけですし、またどこかべつの道で鉢合わせになるかもしれません。
バンに乗っていたのが、三人全員だと確認できたわけでもないので、とにかく安心は禁物です。

また、私がまだ知らぬ仲間が、いつのまにか集まってきた可能性だってあるかもしれません。
その人物が徒歩で私を捜しているとしたら、私には顔や特徴が分からないので、瞬時に危険を察知できないでしょう。
通りすがりを演じられて、ひそかに仲間へ連絡を入れられでもしたら、気づいた際には時すでに遅しで男たちに囲まれていた、などという状況になりかねません。

私は引き続き油断を禁じ、ちゃんと身を隠せる場所はどこなのかを探りました。

その結果、一番安全な場所は公園の茂みの中だと判断しました。
もはや乱獲作業を行っていないのだとすれば、男たちが公園の茂みの中に入ってくる可能性は低い上、仮に茂みの中へ入ってきても、男たちが落ち葉などを踏めば音が出るので気づきやすいからです。

そうと決まれば、即行動です。
ヘッドライトを点けていないバンや歩いているかもしれない男たちの目に気をつけながら、私は公園内の茂みの中を目指しました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉