新着情報

飼い猫様の窃盗 34

その後は、目撃情報がぱったりと途絶えてしまい、S君の逸走日から一ヶ月が経過しました。
飼い主様自身もS君を目撃することがかなわず、日に日に心身の疲労が溜まっていったそうです。

それまでの期間、飼い主様は、S君の迷子情報を載せた掲示板に寄せられたコメント欄に目を通すことだけが、細やかな支えになっていたといいます。
この時代らしく、たくさんの方々がSNSを通じて、S君の迷子情報を拡散してくれたそうです。

後に、そのコメントの数々を私も拝読させて頂きましたが、飼い主様を気遣うメッセージで溢れていました。
中には、以前にご自身も飼い猫様を逸走させてしまった経験があるらしく、その際の捜索方法や捜索過程を具体的に書かれている方もいらっしゃいました。

ほかにも、逸走したペット様が帰ってくるというおまじないの類や、そういったご利益がある神社の紹介、果てにはアニマルコミュニケーターの存在に触れるコメントもありました。
ペット探偵に関するコメントも目立ちました。

それらについて、飼い主様は実際にすべてを試されたそうです。
飼い主様ご本人の言葉を借りれば、おまじないの類や神頼みが、自分が望む結果をもたらすかどうかは、現段階では判断できない状況だと仰っていました。
なぜならば、体調を崩してしまい入院をなさっているとはいえ、今現在もS君の捜索を継続中だからです。

アニマルコミュニケーターに関しては、一度きりの依頼で見切りをつけたといいます。
その方の言葉に疑問を抱くことがあったため、だと仰っていました。

ペット探偵に関してのコメント類には賛否があったので、依頼すべきかすべきでないか、飼い主様自身は深く悩んだそうです。
自身が知るペット探偵業界の実情が実情だけに、私としては驚きには当たりませんが、憔悴なさっている飼い主様からしてみれば、賛否の真意を探るのは難しい作業だったに違いありません。

良いことばかりが書いてあるけれど、実際はどうなんだろう……。

散々悩んだ挙句、飼い主様は、インターネット検索上位に出てくる、いくつかのペット探偵会社に問い合わせをしました。
そうして、とあるペット探偵会社に依頼をしたそうです。
決め手は、テレビ出演の多さだったといいます。

そのことについては、『飼い猫様の窃盗 27』・『飼い猫様の窃盗 28』で触れているので割愛しますが、S君の行方を掴めない切羽詰まった状況である当時の飼い主様は、とにかく誰かにすがりたかった、と吐露なさっていました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉