新着情報

飼い猫様の窃盗 4

そんなある日の深夜に捜索をしている最中のことでした。
人気のない公園付近に面する路地に、一台の不審なバンが停車していたのです。

抜き足差し足で近寄って耳をすますと、バンの中から、複数いると思われる猫様の鳴き声が聞こえてきました。
一大事を察知した私は、辺りを見回しました。
すると、しばらくして、帽子を目深に被った一人のやせ細った男がバンに近寄ってきました。

咄嗟に、男が歩いてきた方向とは反対側の車のかげに隠れて、私は息を殺しました。
そのまま覗き込み、男の行動を窺っていると、その右手に捕獲器を持っていることに気づきました。
捕獲器の中には、恐怖に怯えてうずくまる猫様の姿を確認できました。

私は男に気づかれないように隠れ周りながら、引き続き様子を注視していました。

なんのために、こんなことを……。
気づけば、私の全身は緊張で強張っていました。

ただ、緊張しているのは私だけではなかったようです。
男もまぶたを全開にしながら、忍ぶような仕草でバンのバックドアを開き、捕獲器をそそくさと積み込みました。
それから再びバックドアを閉めると、踵を返し、またも夜道に紛れていきました。

あとをつけて目的を問いただすべきか……。
もう少しこの場で様子を見続けるべきか……。
捕らわれている猫様たちを逃がすことを先行するべきか……。

男とは入れ替わりでバンのバックドア前まで回り込み迷っていると、カシャンという金属音が闇夜に弾けました。
それと共に、日本語とは違う言葉と発音が発せられました。
やせ細った男が去っていった先と同じ方向です。

そちらに向けて凝視していると、先ほど目撃したやせ細った男とは別の大柄な男が、私の視界に入りました。
男は両手に捕獲器を携えていて、その中には、それぞれ一匹ずつの猫様が捕らえられています。

私は先ほどと同じく、男に気づかれないように隠れ周りながら考えを巡らせました。

これは、明らかに迷子猫様の捕獲ではない……。
目的は定かではないが、おそらくは、公園で手あたり次第に猫様を捕獲しているに違いない!
私が捜索を行っている迷子猫様が、この男たちが仕掛けている捕獲器にもしも入ってしまったら大変だ!!!

私は先ず、バンの中に積み込まれている捕獲器の確認を急ぐことに決めました。
なぜならば、すでに捕らわれの身になっているかもしれないからです。

しかしながら。
バンの中の捕獲器を確認するためには、男が再びバンから離れるのを待たなければなりません。

はやく、立ち去ってくれ……。

男に見つからないように祈っている、まさにその時でした。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉