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飼い猫様の窃盗 42

「事務方からすでに連絡がいったと思いますが、やはり、三日前にあったというS君の目撃情報電話は存在しませんね」

予想通りだったペット探偵の報告に、飼い主様はうんざりしたそうです。
それでも気を取り直し、再度確認しました。

「ほかの目撃情報もないのですよね?」
「はい。残念ながら」
「本当ですか?」
「本当です」
「だったら、Sの捜索について今後どうすればいいのか、プロのアドバイスを聞かせてください」
「かまわないですけど、その前に」
「なんでしょう?」
「ぼくと事務方は別人ですから」
「そのことですか……。もう結構です」
「いや。そちらが結構でも、こちらはそうはいきませんので」
「もういいですって。それよりも、時間の無駄なので、捜索方法のアドバイスを教えてください」
「あのね、飼い主さん」
「なんですか?」
「無駄という言い方は、承服できませんよ。事務方も含めて、ぼくらはS君のために一生懸命やらせてもらっているんです。それなのに失礼ですよ。取り消してください」

そういわれた飼い主さんは我慢の限界を迎え、抑え込んでいた不満の言葉が堰を切って出てしまったといいます。

「失礼なのは、そっちじゃないですか!」
「はあ?」
「一生懸命っていいますけど、チラシとポスターを配っただけじゃないですか! しかも、こちらがすでに配ったお宅の一部だけに!」
「それの、どこが失礼に当たるんです?」
「だって、プロなのでしょう!? 素人のこちらがやっていることをただ繰り返すだけが、プロの仕事だっていうのですか!?」
「ですから、先入観ゼロで捜索したいので、というお話は、最初に差し上げましたよね? それを同意の上で、飼い主さんはご依頼をなさったことをお忘れですか?」
「忘れてはいませんよ! でも、それだけでプロの仕事だといわれても、納得できません!」
「ちょっと、勝手に決めつけないでくださいよ。チラシやポスターを配っただけで終わりだとは、一言もいってませんよね? 目撃情報の電話を待つことも捜索の一環です」
「待つことなんて、プロじゃなくたってできますよ!」
「それはウソですね」
「はい? なにがウソだっていうんですか!?」
「飼い主さん、待てなかったじゃないですか。現に、今日、捜索に出掛けたのでしょう?」
「そりゃあ、五日間も目撃情報がなかったら心配になって、じっとしていられませんよ!」
「それがプロと素人の差です。飼い主さんは、とくに根気が足りな過ぎです」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉