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飼い猫様の窃盗 44

「どうしたいのかは、よくよく考えなくても、はっきりいえます」

飼い主様の返事に、ペット探偵は先を促してきたといいます。

「どうぞ、仰ってみてください」
「一刻もはやくSを見つけてあげたい。それがすべてです」
「じゃあ、そのためには、飼い主さんはどうするべきだとお考えなんですか?」
「捜索を続けることです」
「そうですね。その勢いで頑張ってください」
「なにか、他人事みたいな言い方ですね……」
「ほら、またそうやって突っかかるんですから……」
「そういうつもりじゃなくて、突き放されたようで、不安になる言い方だったもので……」
「べつに、突き放してませんって。被害妄想が激し過ぎですよ。やっぱり、一度頭を冷やされるべきです」
「被害妄想……ですか……」
「納得できていない、というような返答ですね。まだなにか?」
「これから、どうしていけばいいのでしょうか?」
「S君の捜索についてですか?」
「はい」
「プロとしては、目撃情報を待つのが基本というスタンスに変わりありません」
「はあ……」
「分かってますよ。それだけじゃ、不安だっていうのですよね?」
「はい」
「だったら、なにかをしてみてはいかがです?」
「もっと広い範囲にチラシやポスターを配布してみる方法も考えてはいるのですが、Sを見かけたという目撃情報地点がどうしても気になってしまって。その辺りは、もう捜さない方が良いのですよね?」
「ですから、何度もいいますが、プロのぼくが目撃したわけじゃないので、飼い主さんの自由になさってください」
「プロとしてのアドバイスが聞きたいのです」
「そうはいいますが、ぼくがアドバイスしても、それに従わない前例がすでにありますからねえ……。となると、時間の無駄なのでは?」
「そんなふうに、いびらないでくださいよ……」
「また、ぼくが悪者ですか」
「そういう意味じゃないですって……」
「もう止めましょう」
「止めるって……なにがです?」
「お互いの信頼関係の回復に、正直、ぼくは自信を持てません。それはきっと、飼い主さんも同じですよね」
「……」
「不毛な争いをしている暇があったら、S君の捜索に時間を割いてあげた方が賢明ですよ」
「それはその通りですけど……」
「ごちゃごちゃ反論するのも、いい加減にしてください。時間の無駄です。飼い主さんがこのままだと、S君は見つかりませんよ。いいんですか?」
「嫌に決まっているじゃないですか!」
「だったら、はやく電話を切って、ご自分が納得することをやってください。こちらが忙しいこと、お分かりですよね?」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉