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飼い猫様の窃盗 49

S君の飼い主様は、相談時間いっぱいまでお話をなさりました。
その多くが、自分の不甲斐なさ・愚かさ・悔恨の情・ペット探偵への嘆きを吐き出す時間に費やされました。

私はそれらのいちいちに頷き、共感し、励ましながら、最後に告げました。

「お気持ちは痛いほど伝わりました。お辛い中、こうして直接お話をお聞かせ頂きまして、ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとうございました。誰かに吐き出すことで、少し楽になりました」

そういいながらも、飼い主様の目に不安げな色を認めた私は、言葉を繋ぎました。

「とにかく、S君のためにも、先ずは飼い主様のご体調の回復を最優先なさってください」
「承知しています」
「よろしくお願い致します。ほかに、なにか話しておきたいことはございますか?」
「Sのこと……」
「はい」
「Sを無事に発見・保護してあげること、かないますかね?」
「それは……」
「経験上のご意見を、正直に仰ってください」

この手の質問は、S君の飼い主様に限らず、ご自分と暮らすペット様が逸走してしまったほぼすべての飼い主様が口にするので、そういった意味では驚きはありませんでした。
絶対に見つかるという希望を約束することはできませんし、ペット様が生き物である以上、一ヶ月以上もひとところに留まり続ける確証もありません。
その上でいえるのは、迷子ペット様を無事発見・保護できる可能性を唯一高める方法は、捜し続けることしかないのです。

その事実を飼い主様に伝えた後、私は付け加えました。

「そうはいってもですね、どんな飼い主様であっても、毎日24時間捜し続けることはできません。仕事をはじめとする様々な用事がありますし、普段はどんなに健康な方であっても、徹夜での捜索を続ければ、いずれ必ず体調を崩してしまうからです」
「身をもって実感しています」
「となると、ご自分の心身の状態に気を配りながら、迷子ペット様を無事発見・保護できるように、少しでも効率よく捜索を行うことが重要となってくるわけです」
「それは……重点的に捜す場所を絞る、とかですか?」
「そうですね。場所だけではなく、捜索を行う時間帯も鍵になってきます」
「確かに、当てもなく探し続けることほど大変なことはないです」
「ペット様の普段の生活サイクルもそうですが、目撃された時間などを考慮しながら捜索時間を絞るわけです。ほかには、捜索を行うその日の天候も無視できません。簡単な例をあげるとすれば、身の危険を感じるほどの悪天候の日にわざわざ出歩く可能性は低い、ですとか」
「そうですよね。怖い思いをする行動を、自ら選択するはずは、ないですものね」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉