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飼い猫様の窃盗 50

S君の場合、これまであがってきた三つの目撃情報を古い順から整理すると、

・夕方16時前、飼い主様のお宅から直線距離で1kmほど先の空家の玄関辺りに、S君に似た猫様が座っていた
・正午過ぎ、飼い主様のお宅から直線距離で700m(一本目の目撃情報地点とは真逆の方面)に位置する、昔ながらのタバコ屋さんのはす向かいに建つお宅の門柱の隙間から、ひょっこりと顔を出した白猫様がいた
・夕刻、飼い主様のご自宅から直線距離で500m付近(二本目の目撃情報地点であるタバコ屋さん方面)に住まわれているA様のご自宅庭で、S君らしき猫様を見かけた

になります。

それらの目撃情報はどれも、証拠となる写真や動画が撮られているわけではない上、飼い主様自身が目視できたわけでもないので、100%の確度を保証するものではありません。
そのことは飼い主様自身もご承知なので、重点を置くべき捜索場所を絞れないでいるわけです。

「経験上でいうと、三つの目撃情報地点のうち、どこを捜されますか?」

飼い主さんに聞かれた私は、一息ついてから答えました。

「私ならば、積極的消去法を実行します」
「それはなんですか?」
「三つの目撃情報の猫様を、ぜんぶ確認することです」
「ぜんぶ、ですか……。簡単なことではなさそうですね」
「目撃された瞬間からタイムラグがあればあるほど、簡単に目視できないこともあるでしょう。そうれでも、目撃された猫様がS君なのか違うのか、飼い主様またはこの目で確かめることをしなければ、いつまで経っても捜索の進捗を望めませんので」
「そうですよね……」

飼い主様は唇をぎゅっと結んで、質問を重ねられました。

「捜索時間帯については、どうなのでしょうか?」
「それについては、目撃されたそれの前後二時間を目安に行います。目撃時間に合わせて周辺を重点的に捜すことで、S君の姿を確認できる確率を高めるようにする狙いです」
「それは、どのくらい続けるべきでしょうか?」
「極端にいえば、実際に目撃できるまで何日でも連続して行うのがいいでしょうね」
「なるほど……」
「ただ、目撃された時間によっては、仕事を都合よく休めなかったりする以上、それを実際に行うのは難しいことであります」
「そうなんですよね……」
「たとえ友人や知人などの協力が仰げたとしても、毎日同じ時間となると、やはり捜索に関われる人間の数に限りがでてきます。ですから、優先順位を絞り込まざるを得ないわけです」
「その前提でいうと、Sの捜索場所と時間帯の優先順位については、どう思われますか?」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉